奈落の果てで、笑った君を。
「……おまえは……、────…きれいだ」
ふたりまとめて串刺しにしてしまええええ!!!と、俺たちを囲む声。
「…き…、れい……?」
お前の笑顔は、誰のことも救う。
お前の純粋すぎる無邪気さは戦を無くしてしまえるのではないかと、本気で思う。
そんなお前と出会い、好かれた俺の人生は、悪いものじゃなかった。
守れなくてすまない。
最後にこんな情けないところを見せてしまってすまない。
「…わたし……、きれいじゃ、ないよ…?」
「……きれい、なんだ、…だれよりも」
その瞬間、ぷつりと、朱花のなかの何かが切れたような音が聞こえた。
涙を流しながら抱きしめる俺の腕のなか、次第に嗚咽だけではないハッキリとしたものが響かせられる。
「う、あぁ…っ、あぁぁ……、あぁぁぁあああーーーっ、ぅああああーーーー…っ」
こんなふうに泣かせてやったことは、無かった。
そもそも俺の前で涙を見せたことは、無かった。
いつも笑っていた少女は、その笑顔でいつからか涙すらも隠すようになっていたんだろう。