奈落の果てで、笑った君を。




たったそれだけで俺たちの周りを敵ではなく味方が囲った。

男は手にしていた巻物を奉行所の役人たちへと広げ、前に憚(はばか)った檻を壊すかのごとく、声を張り上げる。



「これは天皇からの命だ!ふたりを解放し、自由を与えよ!!」



それはしっかりと刻印が押されている、本物の伝達状。



「なにをふざけたことを…っ!!これは幕府の───」


「すでに大政奉還は受け入れられた!!政権は朝廷に返されたのだ!!!」


「っ、」



もしここで大政奉還が実現されていなかったとしたなら、俺たちは殺されていた。

大政奉還に救われたんだ、俺たちは。


龍馬さん、龍馬さん。


俺たちはあなたに救われたんだ───…。




「よって、すべての決定権は我らにある。
────この者たちを直(ただ)ちに解放せよ!!」




俺たちは、勝った。

俺たちは勝ったんだ。


佐々木さん、早乃助さん、龍馬さん、藤堂 平助。

見廻組に新撰組。


俺たちは……勝ったんですよ。



見上げた空は、青く澄み渡っていた───。








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