奈落の果てで、笑った君を。
たったそれだけで、どうしてこんなにも溢れるんだろう。
「で、でも…、わたしは普通じゃないよ…?」
あんなにも言われてしまった。
改めて自分で言葉に出すだけで、涙は止まることを知らなくなる。
「また今日みたいにわたしのせいで…、尚晴がボロボロにされちゃうかもしれない…」
くるしい。
かなしい、さみしい、つらい。
「そしたらっ、尚晴もわたしのことなんか嫌いになって…っ、後悔、するよ…?」
いつからわたしはこんなにも面倒な性格になってしまったんだろう。
こんなにも難しいことを考えてしまうようになったんだろう。
「ハッちゃんのほうが良かったって、いつかぜったい思うか───」
「もう黙れ」
「っ…!」
ぶわり。
唇を塞がれた柔らかさに余計感情がぐちゃぐちゃになって、溢れでるしょっぱさが甘さを消してくる。
それでも深く、大切に、重ねてきた。
「…そんなことを考えるなんて、俺と何も変わらない人間だな」
「っ…」
でもいつか尚晴はわたしより先に死んでしまう。
それが嫌だ、怖い、死なないでほしい、置いていかないでほしい。
「わたしっ、尚晴より先に死にたい…っ、置いていかないで、おねがい、おねがいっ」