奈落の果てで、笑った君を。




俺は結成当初から見廻組に入隊していたわけではないため分からないが、最初の最初は新撰組の顔ぶれたちと見廻組の人間は親睦があったらしい。


近藤 勇(こんどう いさみ)に土方 歳三(ひじかた としぞう)。

沖田 総司(おきた そうじ)、斎藤 一(さいとう はじめ)、藤堂 平助(とうどう へいすけ)。


このあたりの名前と顔であれば、今の俺も大体は一致している。



「面白くない?あのだんだら模様の羽織。ろくな着物を持ってる人間が少なすぎて、あえて作ったって話が俺はすき」



そんな意味があったのか。

奴らは隊服などと立派に言っているが、その意味を知ってしまえば価値も薄れる。



「俺たちはそんな必要もない。いいねえ、育ちがいいってのは」



新撰組がこちら側を毛嫌いしているように、俺たち見廻組も向こうを認めていないところがある。


だから幕府には一緒にしてほしくない。

俺たちが公式ならば、あいつら新撰組は非公式だ。



< 62 / 420 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop