奈落の果てで、笑った君を。
見上げるそいつは、俺の鍛え抜いた上半身からスーーっと下半身まで視線を戻しては下品極まりない反応をした。
「あ、怒った?ごめんよー」
やはりこいつなんざと入った俺が馬鹿だったんだ。
風呂を出て、瞬く間に着替える。
そして向かうは自室なのだが、到着する前には楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
不思議だ、本当に不思議で仕方がない。
あの笑顔を見るだけで、己のなかにある不安や恐れ、迷いが一切と言っていいほど消え失せる。
「おいしい!これっ、これすごく好き!」
「味噌田楽だね。そこまで喜んでもらえて良かったよ。豆腐はいろんな調理方法があるから───っと、忽那くんのお帰りみたいだ」
「尚晴!」
まだ昨日出会ったばかりだというのに、ずっと一緒に居たような感覚さえもする。
なれど飽きることはないのだろう。
と、思わせてくるのだこの娘の笑顔は。
「尚晴これ知ってる?あのねっ、オミソが乗ってるの!えっと、この白いふわふわに!」
「お豆腐、って言うんだよ」
「そう!おとーふ!」