奈落の果てで、笑った君を。
綺麗に洗濯をしてもらった着物を身にまとって、わたしは説明された道へと走った。
あの橋の下で出会ったおじいさんに会いに行こう、今まであった出来事を話したい───、
ふと、そう思ったのは、隣に寝ていた青年がまだ静かに寝息を立てていた頃だった。
部屋を抜け出して建物そのものを抜け出して、その思いだけで向かってきたわたしは、また人の優しさに救われる。
「ううん…、ここじゃない…」
たどり着く前から薄々は感じていた。
人の流れや身なりを見ると、わたしが目的としていた橋ではないこと。
「また三条河原で処刑が行われたらしいで」
「もう、ほんまにかなわんわ…、それもこれもぜんぶ新撰組のせいや」
サンジョ……?
ここはサンジョ、なの…?
“しんせんぐみ”と、また町人から聞こえた言葉にハッとする。
へーすけに「もう来るな」と言われていた。