くるくるキャンディー

私の天敵 川田君は、私のことを『くるくるキャンディ』と呼んだ。

「アリサ、なんでおまえの髪はそんなにクリクリなの? 色も変だぞー。兄貴はストレートだろ。なんでおまえだけそうなの。くるくるキャンディいっぱいくっつけているみたいだ。それにキャンディ食べ過ぎて、粉がホッペにいっぱい付いているぞ。」

川田君はそんなことを私に会うたびに言っていじめた。学校の帰りにはわざわざ待ち伏せされて、髪の毛をワシャワシャされたり、クルクルキャンディ、クルクルキャンディと言ってはやされたり笑われたりした。
そんなだから私は毎日のように泣かされて家に帰った。
ワーって泣いてしがみつく私をママはいつも笑って背中をポンポンと叩き、そしてギューっと抱きしめてくれた。


でもある日それがピタッと止んだ。川田君がお父さんの仕事の都合でフランスに行ったのだ。
川田君が居なくなると私をいじめていた他の二人もおとなしくなり、私には平穏な日々が訪れた。


それから18年、私は誰からもいじめられることなくファッションデザイナーになった。
小さい時から服が大好きで一人でデザイン画を描いていた。それが楽しくて職業にできたらと、デザイナーになることを夢見て専門学校に通った。その専門学校で出会った友達と卒業してからも一緒に服を作り続けている。そして最近それが仕事と言えるようになってきた。自分で作った服を自分で着てSNSに載せていたらフアンが付いたのだ。それでもデザイナーとしては駆け出しの26歳。毎日バタバタとしながらも楽しい日々を送っている。


水や気候、食べ物が違うと髪の毛の色も質もかわってくるという。そのせいなのか、今では昔のクルクルはない、髪の色も変わり、そばかすもなくなった。そしてお兄ちゃんと同じ栗毛色のストレートヘアとなった。
背は166㎝、少し色白で、目が大きくパチッとしている。やわらかい雰囲気のハーフ。身近に居そうな可愛い雰囲気で、日本の女の子にはあこがれの的。私のファッションを真似したいという子がいっぱい私のフアンになってくれた。
でも、いじめられたトラウマなのかいまだに男の子が怖い。

ハパとお兄ちゃんは大丈夫なんだけど・・・
ということで、彼氏はいらない・・・
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