クールで一途な後輩くんと同居してみた
「は、なんで緋織先輩も謝ってるんですか」
「さ、最初に近付いたのは、私からだから」
「起こそうとしてくれたんですよね、前みたいに」
「い、いやぁ……」
全然、そんなつもりはありませんでした。
むしろ起こさないでおこうと思ってたくらいで。
たぶん下心しかなかったし、あのまま触られ続けても問題なかったというか。
「スイくんこそ謝らないで? 昨日も言ったけど、スイくんなら大丈夫、だか、……ら」
顔を上げたとき、影が落ちてきて。
「まだそんなこと言ってるんですか」
頬に手が添えられる。
「これ以上は無理だ、って警告したはずですけど」
「無理って……?」
「……こうやって」
肩を軽く押されて、抵抗する間もなく仰向けになった。
スイくんが上に乗りかかれば、簡単には起き上がれない。
そもそも、スイくん相手に本気で抵抗しようなんて発想も生まれなかった。
「俺の好きなようにされてもいいって言うんですか」
無表情のスイくん。
怒ってる、ってことだけ伝わってくる。
見つめ合う時間、自問自答が頭を巡った。
好きにされていい、んだよね。スイくんに魅力を感じてもらえたってことだもんね。
本当に?
これでいいんだっけ……。
「違うでしょう。緋織先輩が俺に求めてるのはこんなことではないはずです」
スイくんに求めてること。
私のことを好きになってほしい。
他の子に取られたくない。
――スイくんの、気持ちがほしい。