クールで一途な後輩くんと同居してみた
「スイくん、おはよーっ!」
目覚めて最初の視界。初恋の女の子が俺に笑顔を向けてくれていた。
ああなんだ、まだ夢の中か。
「ってえええっ!? なんで二度寝するの!? 起きてー!」
布団ごと揺さぶられる。
……あ、夢じゃないんだった。
あまりにも理想的な目覚めの光景すぎて、ただの妄想かと思ってしまった。
昨夜の出来事が一瞬にして頭を駆け抜ける。
俺、好きな子と寝たんだ。
いやそれはちょっと語弊がある。バカか俺は。
まだうまく働いていないバカな脳を覚醒させるため、上半身を起こした。
「朝ごはんの用意してるから、顔洗っておいで? お布団も片付けておくからねー?」
なんだそれ。俺らいつの間に結婚してた? 新婚?
落ち着けよ。新婚ならもっと、おはようのキスとか? したいだろ、普通に。
うわ…………したすぎ。想像だけで白米三杯いけてしまう。
昨夜は本当によく耐えた方だ。
「スイくん? まだ寝ぼけてる?」
「…………いや。行ってきます」
極めて冷静に。全ての感情を抑圧して返答する。
……とまぁこんな風に。
彼女は自分の力であそこまで元気で可愛い人に成長してしまって。
俺は俺で好きな気持ちが大きくなりすぎて、うまく接することができなくなっていた。