クールで一途な後輩くんと同居してみた
「……よかった」
ほっと胸を撫で下ろすしぃちゃんに笑顔を向ける。
今の話、少し茶番めいたところはあったけど。
しぃちゃんにとっては勇気の必要な告白だったのかなとも思ったり……?
しぃちゃんがメニュー表を差し出してきた。
「お詫びにここのお代はわたしが持つわ。なんでも頼んでちょうだい」
「ほ、ほんとっ!?」
なんでもとか言われちゃったら止まれなくなっちゃうよ!?
「詩歌……当然、オレの分も払うよな?」
便乗して大ちゃんがしぃちゃんの肩に手を乗せる。
「……いいわよ。今日だけ特別ね」
私と大ちゃんの目が同時に輝いた。
テーブルにメニュー表を広げて二人で覗く。
「っしゃあぁーー! 野球部男と緋織の胃袋なめんなよ!?」
「えっ大ちゃん、なに頼む、なに頼む!?」
「これと、これと」
「じゃあ私はこっちとっ……」
「…………早まったかしら」
盛り上がる傍ら、しぃちゃんが頭を押さえているのに私達が気付くことはなかった。