クールで一途な後輩くんと同居してみた
「いいじゃない。『藍月緋織伝説』、別名『部活荒らし』、別名『運動部の救世主』。大層な経歴、誇っていいんじゃないかしら」
「別名多すぎ!」
私としてはかなり、なかったことにしたい経歴なんだけど!
だ、だってね?
ウチの高校は一年生に部活動の強制入部を課しているんだけど。
私が新入生だった頃、どの部活動に入ろうかなって楽しみしてたんだよ。
試しに陸上部に体験入部して、ちょっと走ったら「ぜひ入部してほしい!」って部員全員に歓迎されて。
でも他のところも見たかったから、次はバスケ部の体験に行ったんだ。
そしたらまた、褒められて入部を勧められて。
運動部に行ったら歓迎されて、運動部で歓迎されて、歓迎されて……。
結果、運動部からの勧誘が殺到してしまったんだよ。
息抜きで行った文化部でも、途中で運動部が乱入してくるくらいに。
そのあまりにもな熱量は……ちょっとした、学校崩壊を起こしてしまったというか……。
まぁちょっと、色々あって、私だけは強制入部を禁止されたっていう……それだけの話。
だから今は部活には入らずに、助っ人としていろんなところに呼ばれることで事なきを得てるんだよね……。
思い出すだけで疲れてきた。あのときは、毎日が鬼ごっこの日々だった。
私からのアドバイスとして、スイくんにはしっかり決意を持って部活選びをしてほしいよ。