クールで一途な後輩くんと同居してみた
「『藍月緋織伝説』で思い出した。今日もソフトボール部の女子と緋織のシフト組んでたんだけどよ、来週から頼んでいいか?」
「練習に付き合うのをシフトって呼んでたのっ!?」
大ちゃんが至極当たり前のように言ってくるけど、普通はこっちに決定権があるんじゃないの?
顔を出す度に「来たな緋織伝説!」「早く野球しよう緋織伝説!」といじられるのを我慢してあげてるのにっ!
酷い仕打ちだ!
「もう、こんな変な名前、一体誰が広めたんだよ……っ!」
ドン……っ! 壁を叩く。壊してないよ。
「わたしね」
「詩歌だな」
「んもおお! しぃちゃんんん!!」
犯人はすぐ隣だった!
しぃちゃんをボカボカ殴る。たわわの弾力で全て跳ね返された。
恐るべし、たわわだよ! やわらかぁ……!
「ちょっとちょっと、緋織」
「なに! いじわるしぃちゃん!」
「あなたも先輩になったのだから、もう少し落ち着きを持ってみたらどうかしら?」
「は! そ、そうだった!」
私、『緋織先輩』なんだよ! 伝説じゃなくて!
一応スイくんの前では先輩っぽく振る舞おうと思ってたんだけど。
この二人を前にすると、それが緩んじゃってたよ。
私のことを『先輩』って思ってくれてるスイくんのためにも、先輩らしさ、持とう!
でも先輩らしさって……なに?