クールで一途な後輩くんと同居してみた


 大ちゃんとしぃちゃんには、先輩らしさ、ある気がする。


 しぃちゃんの言う通り、大ちゃんは野球部の中でもエース級の活躍をしているし。


 しぃちゃんは元より見た目が大人っぽくて、所属している吹奏楽部ではパートリーダーを任されそうだって言ってたっけ。


 じゃあ私は何をしたら先輩らしくなれるの?


 部活動に入ってないのが原因……?



「……大ちゃん、シフト、減らして」

「なんだって!? で、でもすでに出来上がって、」

「もう私に無断で決めちゃだめっ! これからは暇じゃなくなったの! なぜなら私にはスイくんという大事な後輩が――」



「俺ですか?」

「おわあぁぁあぁっ!」



 背後にスイくんがいたぁぁっ!


 驚いて腰を抜かしたのか、私の膝はカクンと曲がって尻餅をついてしまった。



「あ……すみません」



 スイくんが手を差し出してくれる。


 く、くううっ、またかっこ悪い姿を見せてしまったっ……!


 貸してくれようとしてる手はありがたく使わせてもらうけどねっ!



「あら、噂のスイくんじゃない。近くで見るとより一層素敵」



 起こしてもらっている最中、しぃちゃんが興味津々といった様子でスイくんを眺めていた。


 ま、まさかしぃちゃん、もうスイくんをロックオンして……!?


 こんな色気ムンムン美女に迫られたら、誰だってあっという間に食べられちゃうよ!


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