クールで一途な後輩くんと同居してみた
「だ! だめだよ!? スイくんには好きな人がいるらしいから!」
「そ、そうだ詩歌。彼はやめておいた方がいい! おまえの大好きな『面白いこと』が一つ減るぞ!」
大ちゃんも加勢してくれた。
でもなんか変なこと言ってるね?
「……なによ。ちょっと褒めただけじゃない」
眉間にシワを寄せて口をつぐむしぃちゃん。
スイくんに対して色気のある感情はなかったみたい。
ごめんだけど、しぃちゃんが人を褒めるとなんでもそう聞こえちゃうんだ。
それで勘違いする男子を近くでたくさん見てきたよ。
完全に内輪で盛り上がりを見せてるところ、スイくんが気まずそうに私の手を握ってきた。
あ、ていうかまだ繋がってたんだ。
「ありがと!」ってこっちから離したら、静かに頷いてくれる。
そんなスイくんの片手には部活のチラシが束になって抱えられていた。
「お、スイくん! 部活何にするか決めたの?」
「……いや。それをちょっと、緋織先輩に聞きに来たというか……」
「私に?」
もしかして頼られてる!?
これは先輩らしいことの機会!
部活には入れなかったけど、全部回って体験したのを生かして何か言えるかも!
「はい。……緋織先輩は、どの部活に入ってるんですか」
あっ。
~完~