クールで一途な後輩くんと同居してみた
い、いやいやまだ挽回の余地はある!
唯一の弱点を突かれてしまったわけだけどね。唯一答えられない質問なんだけど。
「ぶ、部活は私、入ってなくて……」
というより入れなくて……。
「……あ、そうでしたか」
うわああ! スイくんが心なしかシュンとしてるように見える!
やっぱり先輩らしさの秘訣は部活動だったんだあっ!
「ごめん! ごめんねっ! よかったら、行きたいところ一緒に付いていくよっ? 一人じゃ心細いもんねっ?」
「え、本当ですか」
「うんっ! スイくんが『ここ!』って決めたところが見つかるまで、いくらでも付き合うからねっ!?」
「じゃあ……お願いします」
これくらいしかできない自分が恨めしいけどっ……!
顔だけは広いっていう自信はあるから、それをスイくんのために使っちゃうよ!
「まぁこれも……いいか」
スイくんがほっと息を吐いていた。
呆れたため息じゃない。そのことだけで感動が込み上げてくる。
よーし! 緋織先輩、頑張っちゃうからねっ!
「面白くなりそうじゃない」
「言ったろ? ……あ、わざと引っ掻き回すようなことはやめとけよ?」
「わたしのこと悪女だと思ってる?」
「ちょっとだけ」
「大吉、あなた今から校庭十周」
「ほら悪女じゃんっ!?」