クールで一途な後輩くんと同居してみた
放課後、スキップで廊下を進む。
スイくんのクラスに向かって。
へへへ。颯爽とお迎えする先輩、かっこいいんじゃない?
頼りになる人だって思ってもらいたい。
だって高校で初めての後輩だから。
後は、先輩って響きがかっこいいから!
一年生の廊下ではスキップをやめて静かに歩いてみるけど、先輩はやっぱり目立つのか私をチラチラ見てくる人が多い。
まぁまぁそうやってそわそわするのも今だけだよ。気がついた頃にはみんな私の顔と名前を覚えるんだからね。
えっと確か、スイくんのクラスは一年五組……到着!
まずはこっそり覗いてみる。
しのみやすいくん。出席番号は前よりの真ん中だから、席の場所もそれくらいだった。
いたのは確認できたけど、ちょっと見えにくい。
スイくんの周りにはたくさんの人(大体女の子)が集まっていたからだ。
「し、四宮くん、これから一緒に遊びに行かない?」
「クラスのみんなで行くんだけど、どうかな……」
「連絡先も教えてほしい……!」
……おおお?
「彼女とか、いるの?」
「いないなら立候補しちゃおうかな~なんて」
「ちょっと、手早すぎ!」
おおお!
も、モテてる! スイくんモテてるよ!
そりゃあモテるだろうとは思ってたけど!
あ、でも好きな人がいるんだよね。スイくんからしたらそんなに嬉しいことではないか。
あの中にいるってことは……あるのかな?
なんとなく、なさそうだなぁとは思うけど。