クールで一途な後輩くんと同居してみた
💛ワースト3
「えへっ、えへへっ」
――緋織先輩、実はスイくんと仲良しだったかもしれない!
ルンルン気分を撒き散らしながら二人で部活巡りの旅に出る。
私のあげた部活ノートを読んで付いてくるスイくんは、地図を持って宝を探す探検家みたい。
そして私は隊長! スイくんが納得する部活探し、開始っ! おーっ!
「でもさっ? クラスのお誘い断ってよかったの?」
二人で教室を抜けるとき、女の子達が不安そうに「く、クラス会は……?」なんて聞いてきたんだよね。
入部の期日までは余裕あるし、また今度にするかぁーって思ってたら。
スイくんはバッサリ、
「緋織先輩が優先だから」
って同級生を切り捨てちゃった。
確かに約束は私の方が早かったかもしれないけど。
嬉しくもあり……大事な後輩の立ち位置が危うくならないか心配でもあり……。
当の本人は普段の涼しげな顔をしているから、余計なお世話なのかなぁ。
先輩としての正しい行動が問われてしまうよ。
「クラスで孤立したら緋織先輩が相手してください」
「そ、それはもちろん! でもちょっとは仲良くなった方がいいと思うよ?」
「はぁ……」
スイくんはノートに目線を下げたまま生返事。
押し付けがましくてダルいと思われてるよ。
慕われる先輩への一歩、停滞中だ……。