クールで一途な後輩くんと同居してみた
糸目に、関西弁。
胡散臭さ満点の男の人。
それが新聞部の部長、成世先輩。
新聞部の中でも、特別関わってはいけない人だ。
「久しぶりやなぁ、緋織ちゃん。一年生のイケメン捕まえて、誰もおらん教室で何やってたん?」
「成世先輩から隠れようとしてたんですよっ!」
「え~ほんまはイケナイことしてたんちゃう? 俺も混ぜてや♡」
「ひぃぃっ」
なぜなら私が校内で最も苦手とする人だから!
科学部の顧問の先生は、こっちから行かないとほとんど接点はないけど。
成世先輩は、向こうから来るし逃げようとしても逃げられない。
しかも人の話を聞かない。
気に入った人のことは隅々まで調べつくす。
平気でストーカーをする。
平気で人を脅して情報を手に入れようとする。
めちゃくちゃ女好きで、泣かせた女子は数知れず。
挙げ出したらキリがないほど、極悪非道な人物なのだ。
胡散臭い笑顔を貼り付けた顔を近付けてくるから、必死にかわす。
「ちょ……っと、緋織先輩から離れてください……!」
スイくんが私から成世先輩を剥がそうとしてくれる。
「す、スイくんっ……」
情けないけど、ここは助けてもらわないとどうにもできないかもしれないっ……。