クールで一途な後輩くんと同居してみた
💙大人で子供
【悲報】緋織先輩が一ミリも俺を意識しない件について。
目覚めから、はあっとため息が出る。
前から抱き締めた、ダメ。
後ろから抱き締めた、ダメ。
恋人繋ぎをした、ダメ。
何をやっても、ダメ。緋織先輩はきょとんとするだけで、照れたり焦ったりしない。
それが彼女らしさなのかと思いつつ……やっぱり悔しかった。
遠回しに伝えるのはやめた方がいいかもしれない。
もっと直接的に……、いっそ告白を……。
洗面所に向かいながら考えていると、制服に着替え済みの緋織先輩が髪をとかしていた。
「おはようございます、緋織先輩」
先に挨拶。コミュニケーションの基本だ。
「あっ、おはようスイくん!」
緋織先輩は振り返ってにっこりと笑ってくれる。
毎回思うけど、朝起きて一番に見る好きな人、心が潤うな……。
「私もう終わったから、使っていーよっ」
横にずれて場所を空けてくれた。
緋織先輩はいつも俺より早く起きて、早く支度を終える。
今の俺みたいに、寝起きのだらしないジャージ姿なんて見せない。
……こういうことの積み重ねが意識されない原因な気がする。
「緋織先輩って、何時に起きてるんですか」
「え、うーん、五時半とか」
は、早……。学校が近いからとギリギリまで寝てる俺とは大違い。