クールで一途な後輩くんと同居してみた
「スイくーん! 一緒に寝よっ!」
――というわけで、眠れないその日の内にスイくんの部屋に突撃した!
スイくんの部屋は、ちょうど空いていたお父さんの部屋を貸している。
本の虫であるお父さんに合わせてほとんど書斎と化しているそこは、なぜか私が入ると高確率でなんらかの本が本棚から落ちてしまう。
そのことを一時的に忘れ、元気にドアを開けたそこには……。
本を頭から被っているスイくんがいた。
「……」
「…………」
「やり直してください」
「ハイ」
そっとドアを閉めて、もう一度そっとドアを開けた。
スイくんが優雅に本を読んでいた。
なかったことにしてくれるの、優しい。
足を組んでベッドに座るスイくんのところへ静かに近付く。
「スイくん、一緒に寝ようっ?」
「嫌です」
「なんのためのテイク2だったのっ!?」
「俺の尊厳を守るためです」
そう言うと本を閉じ、私を横目で見上げた。
「そこに座ってください」
床を指差される。
違和感はあったけど、言う通りにすることにした。
あれ……自然と正座になっちゃったよ。
するとさっきまでと目線が逆転し、今度は見下ろされる形となる。