クールで一途な後輩くんと同居してみた



「……大穴だったわ……!」



 聞き覚えのある驚き声が届いたので、大ちゃんと入り口の方へ顔を向ける。


 しぃちゃんが溢れんばかりに目を大きく開いていた。


 しぃちゃんも朝練終わりかな。


 なんでびっくりしてるんだろ……?



「そんな、ただの幼なじみって感じだったじゃない……」



 ぶつぶつ何かを言っている。


 そんなしぃちゃんの様子に、大ちゃんが「……あ」と何かに気付いて、



「詩歌、おまえなんかやろうとしてるな?
もしくはもうやってるな?」

「あら。なんのことかしら」

「引っ掻き回すなって釘刺したよな?」

「知らないわ。想像で文句つけないでちょうだい」



 詰め寄られたしぃちゃんは動じない。


 たまにこうやって、二人しかわからない会話が始まっちゃうんだ。


 疎外感が寂しいよ……。


 ココアをもう一口飲んで紛らせた。


 あの二人みたく、スイくんと心から仲良くなるために、しないといけないこと。


 考えよう。考えなきゃ。


 いつまでも子供のままじゃいられないんだよ。


 ね、緋織。そろそろ進まなきゃ、いけないね。


 そんな問いかけに頷く人はいなかった。


 決めるのは、私だから。




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