クールで一途な後輩くんと同居してみた


 赤いって気付いてから、じわじわ顔に熱が集まってきた。


 これ、大ちゃんみたいな生理的嫌悪はないってことは。


 スイくんとキスするの、嫌じゃないってことだ。


 嫌じゃないけど、めちゃくちゃ恥ずかしいんだ……!



「これは恋って言えるかな!?」

「そこまでは助言しないわよ。緋織の気持ちなんだから、最後はきっちり自分で決めなさい」

「……うん、そうだよね。私の気持ちだもんね……!」



 たくさん考えよう。


 考えることを避けてた今までの分、全部。


 スイくんと手を繋いだとき感じること。


 寝ぼけて抱き締められた意味。


 私の、スイくんへの気持ち。


 全部、全部、全部。


 そんでもって、スイくんに好かれるための努力も欠かさない!



 スイくんと一生一緒計画、始動っ!


 気合いを入れ直し、拳を作ったときだった。





「なんや、まだ付き合ってへんかったん?」





 後ろから聞こえてきた関西弁に表情が強張る。



「あら、成世先輩。最近見ないと思ってたわ」

「どの口が言うてんねん」

「くっ、ふふ……チャウチャウ、マルチーズ……っ」

「華麗なフェードアウトやったやろ?」

「めちゃくちゃ不自然だったわよ……っ」



 え、しぃちゃん?


 最悪武器にしようと考えていた拳を下ろす。


 なんでしぃちゃんと成世先輩が談笑し始めるの?


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