クールで一途な後輩くんと同居してみた



 ――スイくんも成世先輩に目を付けられちゃったのね。



 あ……そんなことをしぃちゃんが言っていたような。


 ということは。



「次はしぃちゃんのこと狙ってるんですかっ!?」



 成世先輩を睨み付ける。


 私の周りの人にこれ以上迷惑かけたら許さないんだけど!


 しぃちゃんは肩を震わせながら下を向いた。



「…………狙われてるんは、ずっと緋織ちゃんだけやで」

「なんですか!? 声が小さいです!」

「ははは、狙ってるで~。こんな美人とお近づきになれたら誰でも嬉しいやん?」

「やっぱり……!」



 成世先輩を追い出そうと近付いたわたしに、しぃちゃんが制止する。



「いいのよ。わたしも成世先輩のことは気に入っているから」

「ええええ!?」



 そうなの!? 二人、良い感じなの!?


 む、難しっ……! 恋愛、難しいよ!



「そういうことらしいで。で、彗くんの話してたんやろ?」



 俺も話したいことある♡ と楽しそうに成世先輩は輪の中に入ってきた。



「思春期の男が同世代の異性と一緒に住んでて、なんも思わんわけないやん? ギリギリで耐えてるもんは、揺らしたら簡単に崩れるで」



 そしてアドバイスをくれる。


 今日の成世先輩、もしかして頼りにできる?


 ……あっ、ちょっと待って同居のこと成世先輩に話してないね?


 なんで知ってるんだろうね?


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