クールで一途な後輩くんと同居してみた


 危ない。騙されかけた。


 成世先輩も自分の失言に気付いたのか、あぁと声を出して、



「詩歌ちゃんが教えてくれたで」



 あっさりと白状。


 ねええっ、しぃちゃん!?



「ごめんなさい緋織。ちょっとした雑談のつもりだったのよ」



 私も、別に口止めとかしてなかったけどね?


 よりにもよって成世先輩にバレてるなんて思ってなかったよね。


 二人の繋がりを知った今、しぃちゃんに話す話題は慎重にならないとだ……。



「雑談、ねー……?」



 この事態を唯一傍観していた大ちゃんは、しぃちゃんを怪訝な目で見ていた。



「もうこれ以上は広めなくていいからねっ!?」



 人差し指を立てて口の前に持ってくる。


 しーっ! と口止めのポーズ。


 しぃちゃんが「わかったわ」と頷くと、成世先輩もそれに続いた。


 ひとまずこれで許しておくよっ!



「ん! 続きをどーぞ!」



 成世先輩に話を促す。



「なんやったっけ? ……あ、そうそう、色仕掛け、彗くんには効果抜群やと思う」

「へ!? な、成世先輩じゃないんですから……!」

「どうやろなぁ……? 意外と彗くんも期待してるんちゃうかな~?」

「え、え、っ」



 成世先輩ってこんな感じだけど女の子にはモテるみたいだし。


 経験、知識共に敵わないわけで。


 色仕掛け……。


 恋愛感情と性的欲求は近い……。


 ぐるぐる頭を駆けずり回る、自分では出せない単語の数々。


 だんだん意識が遠のいてきた。


 これが、大人になるってことなの……?



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