このつまらない人生に
「チャイムなるぞ」
その子に気を取られていると、後ろからぶっきらぼうな低い声が聞こえてきた。
その声にはっとして振り返ると、葛生君が横目でこちらを見ながら、理科室のほうへと歩いて行った。
私が話しかけても答えもしないくせに、こういう時は話しかけてくるのか...
なんだかよくわからない人。
そんなことを思いながら、葛生君の背中を追って理科室に急ぐ。
途中、ちらっと窓の外を覗いてみたけれど、廊下の柵の死角になって、
女の子がどうなったのかはわからなかった。