このつまらない人生に



電車から降りた女の子は、さっきまでの今にも泣きだしてしまいそうな表情から一変して、

きりっとした面持ちでスタスタと歩いていく。


私も女の子に置いて行かれまいと、必死に後を追いかける。

女の子に気づかれないことよりも、ついていくことの方に必死だった。


女の子は一切周囲を見ることなく、ただ真っすぐに進んでいく。

耳にはイヤホンをつけているため、周囲の音もさほど気にしてはいないだろう。


なので、歩くスピードを除けば、比較的に後をついていくのは簡単だった。


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