見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
「お母さん、みっちゃん、乃愛ちゃんが来たわよ~」
「俺もいるんだけど…」


リビングと思われる広いお部屋に入ると、何人もの男性と女性がいられて、また緊張が走って、体がビキッと固くなる。


「まーぁ、いらっしゃい!乃愛ちゃん、待ってたのよぉ」
「ほんと、聞いてた通り可愛らしい方だわ、うふふ」


え?え?何事ですか?ていうか聞いてた通り?

目をパチパチさせて伊織を見ると、ふっ、て柔らかく笑ってくれた。


「母さんも実千香(みちか)も、乃愛さんが困ってるよ。ごめんね、乃愛さん。いきなりうるさくて」

「いっいえ、そんなことないです」

「乃愛、紹介するからおいで」
「あっはい」

「いいわよぉ、そんな堅苦しいこと。乃愛ちゃん、こっちで話しましょう」

「おふくろ、とりあえず誰が誰だか紹介しないと乃愛が困るだろ?」

「あっ、それもそうね。じゃあ乃愛ちゃん、後でゆっくりお話ししましょうねっ」
そう言ってお母様は私を伊織へと促した。


はぁ…びっくりした…
これって、歓迎されてるって思っちゃっていいのかな…って思ってたら。

「ん、歓迎されてるから。な、言った通りだろ?」
伊織が私の心を読んだかのように言う。

「…でも逆に驚いてる…」

「ははは、俺の気持ち、わかってくれた?俺も乃愛の実家でそうだったから」

あ、そうか…うちの家族もそうだったね。

「ふふ、ありがとう」
笑顔を返すと、伊織が頭ポンポンしてくれた。


「伊織くん、早く紹介させてくれる?私たちも乃愛ちゃんとお話したいのー」

「あぁハイハイ。じゃあ乃愛から紹介しようか。つっても話してある通りだけど、俺の奥さんになる相川乃愛さん」

と、伊織が私の肩に手を回して紹介してくれた。

「皆様初めまして。相川乃愛と申します。今日はお正月早々お時間を頂きましてありがとうございます。伊織さんには本当にお世話になっております」
最後にペコリと一礼。

「乃愛、そんなにかしこまらなくても大丈夫だよ。でもそこが乃愛のいいところだけどな」
ってニコニコしながらまた頭をポンポンしてくれた。


「伊織くんはほんとに乃愛ちゃんが可愛いのね~」

先ほどお会いした瑠那さんがウフフと笑いながら言うと、伊織が「はい、そりゃあもう。な?」と私に振る。

え?これ、そうですね、って答えていいもの?って一瞬考えたけど、「はい」って笑顔で答えちゃった。

「はは、良かった。そうでもないですって言われたらどうしようかと思った。じゃあ今度はこっちの紹介な」

今度は私の腰に手を回してくれて、ご両親とお兄さんご家族を紹介してくれた。

私が不安にならないように…しっかりと触れてくれてるんだと思う。
その心遣いに大好きな気持ちが一段と高まる。ふふっ。



お父様は秀吉(ひでよし)さん。
がっしりとした体格はラグビー仕込みだそうで、柔和な笑顔が親しみやすい雰囲気。

お母様は華英(はなえ)さん。
スラリとした美人だけど冷たさを感じないのは笑うと目尻が下がって可愛らしくなるからかな。


上のお兄さんは42歳の柊清(しゅうせい)さん。
お顔も体格もお父様似っぽい。

柊清さんの奥様の瑠那(るな)さんはハキハキした美人さん。柊清さんとは大学時代の同期生だそう。

お子さんは二人。
高校2年生の暖仁(はると)くんは今時のカッコいい男の子。
小学3年生の湊仁(みなと)くんは野球少年でいがぐり頭がかわいい。


下のお兄さんは34歳の京太(きょうた)さん。
お母様似でスラリとした眼鏡イケメンさん。

京太さんの奥様の実千香(みちか)さんはとても可愛らしい雰囲気でお人形さんみたい。元は京太さんの部下だったそう。

お子さんは5歳の彩愛(あやめ)ちゃん。実千香さんにそっくりで、まだ細くてふわふわした長めの髪が可愛らしさを引き立ててる。


伊織はお父様とお母様、どちらにも似てる感じがするけど、どちらかと言えばお母様似かな。
でも笑顔はお父様似かも。


それより……うーん……名前、覚えられるかな……後でメモしておかないと…

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