見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
気付けば…唇を繋げたままワンピースは既に脱がされていて、私は横に抱き抱えられた。
そのまま寝室へ移動し、私をベッドにそっと座らせると、伊織の手がまどろっこしそうにネクタイの結び目を緩めようとしている。
…男の人のネクタイを外す姿に色気を感じる、という話を思い出した。
ほんとに…ドキドキする…
シュルッとネクタイを外す瞬間、そのドキドキが、きゅんっ、に変わった。
「ふ、乃愛がすげぇ色っぽい目ぇしてる。…あ、ネクタイで拘束されたい?」
「ちっ違うってば…」
「じゃあ何?その目は」
「その……ネクタイを外す仕草にドキドキしただけだよ…」
「そうなの?そんなのにドキドキすんの?」
「ん…普段見ないから、っていうのもあるかもだけど…男の人の色気っていうか…そういうのを感じちゃって…」
「はぁっ……もぉ…乃愛はマジで煽るの天才だよな…」
言いながらワイシャツとTシャツをバッと脱ぎ、鍛えられた身体を露にする。
「だから、そういうのが…男らしくて色っぽいんだってば…」
私が煽るんじゃなくて、伊織がそうさせてるのに…
「そっか、じゃあ乃愛も脱いで見せて?」
「ぬ…脱いで見せる?」
「うん。いつも全部俺が脱がせちゃうから普段見ないだろ?だから、逆に乃愛が脱ぐのを見たら女らしくて色っぽいって思うのかな、って」
「う。…ん、いいよ」
何かさっき抱き締められた時のちょっと大人の雰囲気から、いつもの感じになっちゃった。
まぁいっか、ふふ。
私が立つと、伊織が私の目の前に座る。
「…正面て恥ずかしいんだけど…」
「ふ、俺だけの特等席な」
なんて嬉しそうに言われたら、ね。
……ふふっ、敵わないんだよなぁ。
見られていることにドキドキしながらロングキャミソールのストラップの片方を肩から滑らせ、もう一方も滑らせながらするすると下におろし、膝の辺りで片足ずつ抜いた。
……なんかこれ…えっちなショーみたいじゃない…?
って今更ながら気付いちゃった。
そもそも脱ぐも何も下着の状態だったし。
…でも伊織は嬉しそう。
「は…やべぇ、マジで色っぽいんだけど。…じゃあブラも」
「へ?えぇ!?」
「見たい」
「…ん……」
さっきよりも恥ずかしいけど…
腕を後ろに回してホックを外し、緩んだストラップを持って腕を抜いた。
「じゃあそれ置いておいで」
「ん……」
サイドテーブルにブラを置くと、伊織が手を広げて待ってくれてる。
…いそいそと伊織の腿を跨いで腰をおろし、私は上半身裸の伊織を抱き締めた。
肌と肌が直に触れると、その熱さが伊織の存在を確かなものに感じて嬉しくなる。
男らしい伊織の首筋に誘われるまま唇を当てていると、ふわりと漂ってきた香りにドキリとした。
香水のラストノート、と……
あぁ……伊織の匂い……
もっとこの匂いを嗅いでいたい…
包まれていたい…
…そっか…いつもお風呂に入ってからだったから、ここまではっきりと匂いを感じたことがなかったんだ。
ゆっくり、すぅ……と吸いながら香りを探す。
……はぁ……伊織の匂い……
私は片手で伊織の頭を抱えながら、また首筋に唇を這わす。
「シャワーしてねぇから汗臭いだろ?」
伊織は私を緩く抱き締めたままでいてくれる。
「ううん……伊織の匂い……ずっと嗅いでたい…」
何でなんだろう…いわゆるフェロモンていうものかな…
ドキドキするのにトロンとしてくる…
すると伊織に身体を起こされ、顔を覗き込まれた。
「乃愛……何でそんな色っぽい顔してんだよ……たまんねぇ」
伊織に跨がっていた私は、ベッドにどさりと倒された。
「もぉ……可愛い乃愛にいきなりオンナ出されたらさ…これ以上我慢できねぇよ……」
スッとベルトを外すとすぐに伊織が覆い被さり、私を正面に見下ろした。
シーツに縫い止められた手にぎゅ…と力が入る。
「乃愛……俺はぜってぇ裏切らねぇし、ぜってぇ離さねぇからな。一生俺に愛される覚悟しとけよ」
愛情と熱情と優しさが入り乱れた眼差しに伊織の本気が見えて、嬉しさと愛しさで心も身体もきゅう…と反応する。
「うん……一生…私だけを愛して、伊織……私も伊織だけだから……」
私の返事にフッと優しい笑みを見せた。
「愛してるよ、乃愛」
…私の唇を美味しいものかの様にねぶり、舌を絡めとりながら、伊織の手は私の身体の表面を滑ってゆく。
その感触はとても柔らかくて、大切なものを扱うかのよう。
…付き合い始めた日に伊織に身体を触られた時……腿を撫でられる事があんなに心地よいものだなんて知らなかった。
それは…伊織がたくさん経験してきたからなせる技。
…でも伊織は私のために過去の経験をつぎ込みたいって言ってくれたから…私はそれを信じて…もう過去に妬かない。
私の…私だけの……伊織だから。
「…朝まで愛し合おう、乃愛」
もう一度…伊織からの深く甘いキス……
それは夜は終わらないという合図。
……そして……私達の新婚初夜は熱く甘く、長いものとなった。