見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
チェックアウトの時間にみんながロビーに集まると、またそれぞれグループができて盛り上がっている。
昨日でほんと仲良くなったもんな、みんな。
別れがたい気持ちもすげぇわかる。
そんな中、俺は諒を見つけて話し掛けた。
「諒も麻依さんも、ほんとありがとうございました」
「いやこちらこそ楽しませてもらってありがとな」
「旭くんもはるひちゃんもありがとう」
乃愛が子供達にいいこいいこしながら言う。
「のあちゃん、またあそぼうね」
「まー、んまー」
乃愛が子どもと触れ合うのを見てると嬉しくなるな。
「伊織、じゃあ教えてくれな」
「あぁ、いつでも聞いて」
「諒、伊織くんに何を聞くの?」
って麻依さんに聞かれてるけど何て言うんだろ、って気になって見てたら耳元で普通に「麻依を喜ばせるテク」って正直に言ってんの。ははは。
ん?って反応してた麻依さんだけど、諒のニヤニヤに意味がわかったらしく「はぁっ!?」って言いながら赤くなった。
すると麻依さんが諒にこそっと言ってるのが聞こえた。
「…そんなことしなくても充分だし…あっ、じゃあ私も諒を喜ばせる方法を教えてもらうねっ」
「えっ!そんなの誰に聞くの!?だっダメだって!」
「えー…だって私も諒を喜ばせたいもん」
「いいって!充分だって!てか他のヤツに聞いちゃダメだからな!?」
「むぅ…」
「あー…麻依…むぅってしないで…超絶可愛いから…」
ふ、諒の愛の強さが際立って見えるけど、麻依さんもすげぇ諒のこと好きなのがわかるし、幸せそうだもんな。
俺達もこんな風に大事に愛し合える夫婦になりてぇな。
つか、俺と乃愛ならなれるよな。
「伊織達はアメリカ行くんだよな」
「あぁ、来月からね」
「気を付けて行ってきてな。帰ったらまた会おうな、今度は俺達が長野に遊びに行くから」
「ほんと、二人とも体に気をつけてね」
「いおりくんとのあちゃんにあげるー」
と旭が何かを持った手を俺に差し出したから、それを受け取る。
「御守りか。ありがとな、旭」
紙で作られた御守りだった。
「ぼくがね、うーんとおいのりしたから、なんでもだいじょーぶなおまもりだよ!」
ドヤ顔の旭に乃愛がいいこいいこした。
「ありがとう!御守り持って元気に行ってくるね!また遊ぼうね」
「うんっ!」
旭の屈託のない笑顔にこれからの勇気をもらい、乃愛と俺は自然と微笑んだ。