見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
キッチンで夕飯の支度を始めた二人を、隣のリビングから遠巻きに見ながら俺はルークと話していた。

『こんなことを聞くと嫌な気持ちにさせてしまうかも知れないが…』
と英語で切り出されたから、ルークが聞きたいことは何となくわかった。

『いや、何でも聞いてよ』

『ありがとう。……キミカの事は信じているんだけどね……僕は離婚歴があって…自分に自信が持てないんだ』

『…何で別れたの?』

『前妻はバツイチでね……簡単に言えば…前の夫のところに戻ってしまったんだ』

あぁ…そういう事ならルークが心配になるのも頷ける。

だから俺は、公佳との結婚生活と乃愛との結婚生活とで変わったことや、公佳と乃愛それぞれに思っている現在の気持ちを正直に話した。



『そうか……キミカがイオリを見て〝変わった〞と何度も言っていたけど、本当にそうなんだね』

『うん。乃愛は俺が甘えられる唯一の女で、俺が守りたいと思う唯一の女なんだよ』

『それは見ていてよくわかるよ』

『それに…公佳も変わったよ。ルークに対する表情とか少し甘えるような雰囲気とか。それらは俺が見たことない公佳だったからね』

『…そんなキミカを見て…イオリはどう思った?』

『正直、嬉しかった。俺にとっての乃愛の様な存在が、公佳にもできたんだな、って思って』

『嬉しい…?』

『あぁ、俺ばっかり幸せで悪いな、って思ってたからね。まぁ…ルークにとっては俺はいつまでも〝公佳の元旦那〞かもしれないけど、俺達はそれぞれ最愛の伴侶を見つけたんだ。だからこうして会っても普通に話せてるんだよ』

『……ありがとう。君の本音を聞けて良かったよ』

『ルーク、自信持っていいからな。公佳はルークしか見えてないから。それは、元旦那でそこまで愛されてなかった俺だからわかることなんだ。ハハハ』

『イオリ…君は何ていい男なんだ』

『それ、乃愛に聞かせてやってよ。いかにいい男かって。そしたらもっと愛してくれるかも』

『ハハハ、ノアはもう充分イオリを愛してるじゃないか。……それにしても……ノアは僕と同じ立場なのに、なぜあんなにキミカを慕っているんだい?』

『乃愛の事は公佳から聞いてない?』

『あぁ、ジムで仲良くなった子という事以外には特に…』

『そっか。なら本人に聞くといいよ。乃愛は話してくれるから』

『そうするよ、ありがとうイオリ』

会話を終えたルークの表情がさっきよりスッキリと、そして穏やかになっていることに安心した。

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