見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
「これは肉じゃがだね?日本で食べた時以来だ。この味は本当に久しぶりだなぁ、とても美味しいよ」
「うふふ、乃愛ちゃん特製のレシピを教えてもらったの」
「ん、乃愛の肉じゃがだ。やっぱ旨いな!」
「ありがとう。伊織にとっては代わり映えのないごはんでごめんね」
「いや、俺は乃愛の作るごはんは何でも好きだから」
「ふふっ、そう言ってくれるの、嬉しい。あっ、こっちのは公佳さんが作ってくれたんだよ!ラタトゥイユ」
「えっ…」
公佳のラタトゥイユってあの塩辛いヤツ……
過去の記憶が甦る。
「大丈夫よ、伊織。ちゃんと乃愛ちゃんに味を見てもらってるから」
「そうか、それなら…あっいや別にそーゆうワケじゃ…」
「いいのよ、自分でもわかってるし。だから乃愛ちゃんと一緒に作れてよかったわ、何がダメなのかよくわかったから」
「ふふ、公佳さんは優しくて相手の事を気に掛けてくれるから、味が薄いんじゃないかって気にして塩気を強くしたり、もっとおいしくしようと思って味を足したりするんですよね」
「そうだったのかい、キミカ」
「…えぇ、でも乃愛ちゃんから大事なことを教えてもらったから、これからは気を付けるし、味も大丈夫だと思うわ」
「僕も一緒に作るから、教えてくれるかい?キミカ」
「えぇもちろんよ!肉じゃがのレシピと味付けの黄金比も教えてもらったの!ホラ、これ」
と公佳は乃愛の手書きのメモをルークに見せた。
「ハハハ、これはいいね。額に入れて飾っておこうか」
「そうね、そしたらいつでも見ながら作れるわね、ふふっ」
そう笑い合うルークと公佳を、乃愛は優しく笑って見ていた。