見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
食事が終わると、ルークが俺達に「二人はアルコールは?」と聞いてきた。
「俺はまぁそれなりに。乃愛はそんなに強くはないよな」
「うん」
「ノア、甘いカクテルは飲めるかい?アルコール低めで」
「はい、それは好きです」
「OK、じゃあそうしよう」
と言うとキッチンの奥へ進むルーク。
「?」
「ふふふ、実はね、ルークは日本で少しだけバーテンダーをしていたことがあってね。こうしてお客様に振る舞うのが好きなの」
するとシェイカー等の器具の入ったケースといくつかのアルコールと思われるビンを持ってきたルークが準備を整えると、徐にキッチンのカウンターでシェイカーを振り始めた。
「えー!すごい!カッコいい!こんな素敵なバーテンダーさんならモテそうですよね、ふふっ」
ゴッ
パチパチと手を叩きながらそんなことを言う乃愛に頭突きした。
「いった…」
「…乃愛?惚れんなよ?」
「もぉ…そんなことあるわけないでしょ……イタタ…」
「ごめん、ちょっと強かったか」
乃愛が撫でてる箇所にキスして後ろから抱き締めた。
「ごめんな…」
「ふふ、いーよ。あ、私もごめんね、他の人をカッコいいって言っちゃったから……でも伊織が一番カッコよくて一番素敵なんだよ?」
くるりと向きを変え、ちゃんと目を見てそう言ってくれる乃愛が愛おしくて。
「ん……大好き」
ぎゅうっと抱き締めた。
その甘い空気を壊すように「Hey、そこのカワイコちゃん、お待ちどう」とルークの声が聞こえ、見るとカウンターにかわいらしいピンク色のカクテルが置かれていた。
それを見た乃愛が「わ!かわいい!パパラチアサファイアみたいな色…」と俺の腕の中からスルリと抜け出てった……しょぼん。
「イオリは何にする?よければ〝ニューヨーク〞なんてどう?」
「あぁ、いいね。お願いするよ」
「OK」
ルークが俺のを作ってる間も、乃愛はピンク色のカクテルを見ながらニコニコしてる。
……ほんと可愛い。
「乃愛、飲まないの?」
「え、先に頂いてていいの?」
「もちろん。作りたてを飲んでごらん、おいしいから」
「うん。ルークさん、いただきます」
「どうぞ、召し上がれ」
乃愛はグラスを持ち上げると、くぅ、と一口含んだ。
「あー、美味しい!すごくフルーティーで甘くて冷たくて…どんどん飲みたくなる!ルークさん、すごく美味しいです!こんなにおいしいお酒、初めてです!」
「ハハハ、そこまで喜んでもらえると僕も嬉しいな」
「どれ、そんなにうまいのか?俺にもちょっと飲ませて?」
「うん、伊織も飲んでみて?あ、全部飲んじゃだめだよ?」
「ははっ、すごい気に入り様だな」
そして一口飲んでみると確かに乃愛がああ言うのがわかる。俺にとっては甘すぎるけど美味い。
ルーク、バーテンやってたのは伊達じゃないな。
「乃愛、飲みすぎるなよ?」
「うん、おいしく頂くだけにするよ」
そして俺にも作ってもらうと、ルークは乃愛に「ちょっといいかな」とカウンターで乃愛と話し始めた。
その様子を離れたとこから見てたら、公佳が食器の片付けを始めた。
「あっ、ごめんなさい、私もやります」
それに気付いた乃愛が慌てて言うも、ルークが乃愛と話したい気持ちもわかるから、それを俺が制した。
「こっちは俺がやるから、乃愛はルークと話してな」っつって公佳を手伝った。
たまにチラっと見ると乃愛のカクテルが替わってて、何杯目!?って気になったけど、普通に話せてるみたいだから…大丈夫だろう。