見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
「おはよう、乃愛ちゃん!」
「公佳さん!おはようございます!」
今日はルークがニューヨークを案内してくれる事になり、公佳とホテルまで迎えに来てくれた。
「ぐっすり眠れた?」
「はい!お風呂から上がってすぐに寝ちゃったみたいで、起きたらもう朝でした」
「あら…それじゃあ伊織は残念だったわね、ふふふ」
なんか公佳の笑みを素直な意味で捉えられない俺がいる。
……考えすぎならいいけど……
「なぁ、ルーク。何でこの並びなんだ?」
「さぁ……キミカが決めちゃったからね…」
ルークの運転する車の後部座席に乃愛と公佳、そして助手席は俺。
「普通、並びは俺と乃愛じゃね?」
「そうだね……それにしてもキミカは随分とノアを可愛がっているね」
…チラッと後ろを見る度に公佳が「かわいい、かわいい」と乃愛の顔とか触ってる。
昨日抱けなかった俺としてはやたらモヤるんだけど…
「まぁ観光する時は大丈夫でしょう」
…なんてルークの言葉も虚しく、自由の女神も5th Avenue(フィフス・アヴェニュー)もタイムズスクエアも、なぜか乃愛の隣は公佳で、その公佳は乃愛の腕を離さない。
公佳が自分より背の低い乃愛に腕を絡める姿は何とも微妙だが、そんなことはお構い無しで、すこぶる嬉しそうだ。
そりゃあ公佳も乃愛と久しぶりに会って仲良く楽しみたいんだろうけどさ……
俺の乃愛を返してくれ……はぁ……
そして、本日最後にルークが案内してくれた観光名所はエンパイアステートビルだった。
「展望台からの夜景は絶品だよ」
その言葉の通り、86階にある屋外展望台から見る夕景から夜景に変わっていく様は本当に素晴らしいものだった。
乃愛も目を輝かせて眺めている。
やっぱすげぇ可愛い…って見てたら、不意に乃愛が俺を振り返り「伊織と一緒に見られて嬉しい」なんて言うもんだから…
抱き締めて、キスして、「俺もすげぇ嬉しいし幸せ」って素直に言うと、乃愛も俺をぎゅうっと抱き締め返してくれて、すっごい可愛い顔で「うん、幸せだね」って笑うんだ。
…なんかもう…それで今日一日のモヤモヤが吹っ飛んでった。