見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
「え、離婚届…って…」
「だから、宏哉と離婚したいの。サインして下さい」
「…は?何で?…どういうことだよ!…あ!浮気か!?男ができたのか!?…お、俺は離婚なんて認めないぞ!」
「そういうのを〝自己紹介、乙〞って言うんだっけ。宏哉と一緒にしないでくれる?…私はね、不貞を働いたあなたと一緒にいたくないから別れたいの」
「ふ、不貞って何だよ、俺は何もしてねぇよ!」
知らぬ存ぜぬで通そうとしても無駄なのに。
「そうそう、渡すのはまだあるの」
今度は安野法律事務所の名入り封筒を宏哉の目の前に付き出した。
「…何だよ……は?法律事務所?」
「中に慰謝料請求について書いてある書類があるから、よく読んでちゃんと払ってね。浮気の証拠も入ってるから、言い逃れはできないよ」
笑顔は一切なく、冷静に話す。
「し、証拠…って…」
そして…私が太っていなかったことや、最初にチヤホヤされたりしたことが面白くないみたいで、ふて腐れた顔をしていた葉月へ向きを変え、彼女のデスクへと赴いた。
「久しぶり、葉月。会うのは一年以上ぶりかしらね」
「え?葉月ちゃん…先月と3か月前に乃愛に会ったって言ってたよな?それで太ってたって…」
「っ……」
宏哉が葉月に問うも、葉月は苦虫を噛み潰したような顔で黙ったまま目を逸らした。
「どういうことだよ…」
訳がわからないといった宏哉は私を見るが、私はそのまま葉月に言葉を続けた。
「宏哉の不倫相手であるあなたにも慰謝料の請求をさせてもらうわよ、葉月」
ハッと気付いた葉月が叫んだ。
「言い掛かりはやめて!親友でしょ?私達…。そりゃあ宏哉くんは乃愛の旦那さんだし、大学の同級生だからお話しすることはあるけど、それだけなのに不倫扱いなの!?ひどいよ…乃愛…」
かわいらしく泣き始める葉月に近寄り、慰める一人の男性社員が口を開いた。
「そうですよ、証拠って言っても親しく話しているだけでしょ?あなた、親友なんですよね?葉月と」
「親友ねぇ……私はそう思っていたけど、親友と思ってなかったのは葉月の方みたいよ?…それに、言い逃れできない証拠があるって言ったでしょ?言い掛かりも何も、全てわかっているの」
そこで、興信所が集めてくれた証拠音声データの一部をレコーダーで流し始めると、可愛げな仕草も忘れ、葉月が私に掴みかかってきた。
「ふざけんな!アタシは悪くない!そんなもの壊してやる!」
と、私からレコーダーを奪い取ろうと掴みかかってきた葉月を、私はいとも容易く押さえつけた。
スタイルを良くするために頑張ってたけど、それなりに瞬発力と筋力もついてたみたい。
「葉月…どういうこと?俺と付き合ってるのに…桐生さんと浮気してたってこと…?」
「え?葉月ちゃん…黒田さんが婚約者ってこと?」
「婚約者って何ですか、桐生さん。葉月、どういう事なんだ?」
「…………」
葉月は黒田さんと宏哉の言葉には答えず、顔を背けたまま。
そちらのゴタゴタに構ってる暇はないと、ここで青井さんを召還。
青井さんは自分が弁護士であることと、宏哉と葉月のしたこと、それに伴う慰謝料請求について淡々と話してくれた。
さすが弁護士さん。
淀みなくスラスラと二人に話す姿が格好いい。
そして、それを聞き終わった宏哉と葉月は茫然としていたが、私は構わずに宏哉に離婚届への記入を促した。
しかし、離婚届を前に宏哉はごねた。
「俺は別れない!離婚はしねぇぞ!ぜってぇ書かねぇからな!」
そう強気で言う宏哉に青井さんが話しかけた。
「でしたら離婚調停とさせて頂きますがよろしいですか?」
「は?…離婚…ちょう…てい?」
「はい、離婚調停です。簡単に言えば、裁判所が間に入って行う話し合いです。この離婚調停で合意できなければ不成立となり、その後は離婚訴訟を提起いたしますが、それでよろしいですか?」
「訴訟…?」
「はい、裁判です」
「裁判!?」
「はい」
裁判という単語に事の重大さが分かってきたのか、宏哉が私に聞いてきた。
「の…乃愛……そこまでして俺と…別れたいのか…?」
「えぇ、離婚したいの。今、青井弁護士が仰った通り、書いてもらえないなら調停にさせてもらうわ。それにも応じてもらえないなら裁判で決着をつけます」
私の決意を冷静に言うと、宏哉の顔がサーっと青ざめた様に見えた。
「…わかった……書くよ……」
どう見ても自分の分が悪く、裁判でも勝てないと分かったのか、離婚届に記入を始めた。
そして葉月にも封筒を渡し、中を確認してもらった。
期日までに慰謝料の振込みがなければ実家に同じ封書が届くとも伝えた。
私は慰謝料なんてどうでもよかったんだけど、青井さんに「責任の所在を明らかにするためにも、少額でも請求しましょう」と言われ、そういうことなら…と、請求することにした。
「だから、宏哉と離婚したいの。サインして下さい」
「…は?何で?…どういうことだよ!…あ!浮気か!?男ができたのか!?…お、俺は離婚なんて認めないぞ!」
「そういうのを〝自己紹介、乙〞って言うんだっけ。宏哉と一緒にしないでくれる?…私はね、不貞を働いたあなたと一緒にいたくないから別れたいの」
「ふ、不貞って何だよ、俺は何もしてねぇよ!」
知らぬ存ぜぬで通そうとしても無駄なのに。
「そうそう、渡すのはまだあるの」
今度は安野法律事務所の名入り封筒を宏哉の目の前に付き出した。
「…何だよ……は?法律事務所?」
「中に慰謝料請求について書いてある書類があるから、よく読んでちゃんと払ってね。浮気の証拠も入ってるから、言い逃れはできないよ」
笑顔は一切なく、冷静に話す。
「し、証拠…って…」
そして…私が太っていなかったことや、最初にチヤホヤされたりしたことが面白くないみたいで、ふて腐れた顔をしていた葉月へ向きを変え、彼女のデスクへと赴いた。
「久しぶり、葉月。会うのは一年以上ぶりかしらね」
「え?葉月ちゃん…先月と3か月前に乃愛に会ったって言ってたよな?それで太ってたって…」
「っ……」
宏哉が葉月に問うも、葉月は苦虫を噛み潰したような顔で黙ったまま目を逸らした。
「どういうことだよ…」
訳がわからないといった宏哉は私を見るが、私はそのまま葉月に言葉を続けた。
「宏哉の不倫相手であるあなたにも慰謝料の請求をさせてもらうわよ、葉月」
ハッと気付いた葉月が叫んだ。
「言い掛かりはやめて!親友でしょ?私達…。そりゃあ宏哉くんは乃愛の旦那さんだし、大学の同級生だからお話しすることはあるけど、それだけなのに不倫扱いなの!?ひどいよ…乃愛…」
かわいらしく泣き始める葉月に近寄り、慰める一人の男性社員が口を開いた。
「そうですよ、証拠って言っても親しく話しているだけでしょ?あなた、親友なんですよね?葉月と」
「親友ねぇ……私はそう思っていたけど、親友と思ってなかったのは葉月の方みたいよ?…それに、言い逃れできない証拠があるって言ったでしょ?言い掛かりも何も、全てわかっているの」
そこで、興信所が集めてくれた証拠音声データの一部をレコーダーで流し始めると、可愛げな仕草も忘れ、葉月が私に掴みかかってきた。
「ふざけんな!アタシは悪くない!そんなもの壊してやる!」
と、私からレコーダーを奪い取ろうと掴みかかってきた葉月を、私はいとも容易く押さえつけた。
スタイルを良くするために頑張ってたけど、それなりに瞬発力と筋力もついてたみたい。
「葉月…どういうこと?俺と付き合ってるのに…桐生さんと浮気してたってこと…?」
「え?葉月ちゃん…黒田さんが婚約者ってこと?」
「婚約者って何ですか、桐生さん。葉月、どういう事なんだ?」
「…………」
葉月は黒田さんと宏哉の言葉には答えず、顔を背けたまま。
そちらのゴタゴタに構ってる暇はないと、ここで青井さんを召還。
青井さんは自分が弁護士であることと、宏哉と葉月のしたこと、それに伴う慰謝料請求について淡々と話してくれた。
さすが弁護士さん。
淀みなくスラスラと二人に話す姿が格好いい。
そして、それを聞き終わった宏哉と葉月は茫然としていたが、私は構わずに宏哉に離婚届への記入を促した。
しかし、離婚届を前に宏哉はごねた。
「俺は別れない!離婚はしねぇぞ!ぜってぇ書かねぇからな!」
そう強気で言う宏哉に青井さんが話しかけた。
「でしたら離婚調停とさせて頂きますがよろしいですか?」
「は?…離婚…ちょう…てい?」
「はい、離婚調停です。簡単に言えば、裁判所が間に入って行う話し合いです。この離婚調停で合意できなければ不成立となり、その後は離婚訴訟を提起いたしますが、それでよろしいですか?」
「訴訟…?」
「はい、裁判です」
「裁判!?」
「はい」
裁判という単語に事の重大さが分かってきたのか、宏哉が私に聞いてきた。
「の…乃愛……そこまでして俺と…別れたいのか…?」
「えぇ、離婚したいの。今、青井弁護士が仰った通り、書いてもらえないなら調停にさせてもらうわ。それにも応じてもらえないなら裁判で決着をつけます」
私の決意を冷静に言うと、宏哉の顔がサーっと青ざめた様に見えた。
「…わかった……書くよ……」
どう見ても自分の分が悪く、裁判でも勝てないと分かったのか、離婚届に記入を始めた。
そして葉月にも封筒を渡し、中を確認してもらった。
期日までに慰謝料の振込みがなければ実家に同じ封書が届くとも伝えた。
私は慰謝料なんてどうでもよかったんだけど、青井さんに「責任の所在を明らかにするためにも、少額でも請求しましょう」と言われ、そういうことなら…と、請求することにした。