見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
待ち合わせ…というより呼び出されたのは閉店間際のショッピングモール。
私は指定された北側入口に近い駐車場に車を停めた。
この北側入口はモールの一番はずれにあり、利用者が少ない。
故に…人の出入りも、停まっている車も少ないということ。
こんな時間にこんなところに呼び出して…謝罪?
そんなわけないじゃない。
絶対に…何かある。
車を降り、離れたところにある街灯がぼんやりと照らす中、心の中で警戒しながら入口へ向かって歩いた。
すると、後ろから男の声で「こっちに来い」と言われた瞬間、口を塞がれた。
「!」
そのまま引き摺られる様に、入口から離れていく…
何これ…この前みたいな……
暗い中、気付くと少し先には黒のワンボックスが停まっていて、そこに向かって近づいて行く。
これは絶対に連れ込まれるヤツだ……
車まであと数メートルというところで、私達の前に立ちはだかる様に…伊織さんが現れた。
(伊織さん…)
「彼女を返してもらおうか」
「…何だお前は。いいからどけ」
「いや、返してもらう」
「うるせぇな、邪魔すんじゃねぇ、そこをどけっ」
「邪魔なのはお前だ」
と、伊織さんが近づき、私を奪い返そうとした時。
「おっとぉ、かわいいこの子にキズがついちゃうよぉ?」
私の右首筋に触れる…固くヒヤリとしたモノ。
「っ!」
伊織さんの顔が…こわばった…
てことは…刃物、なんだ…
「クソッ!絶対にキズつけんな!」
「ハッ、大人しくしてくれれば俺はキズつけねぇよ」
「俺は、って…他に何かしようってヤツがいるのか!?」
「…いいからそこをどけ」
「……」
伊織さんが私を見た。
(伊織さん、私は大丈夫)
悔しそうな伊織さんに、私は力強い眼差しでコクリと頷いた。
「乃愛…」
伊織さんが道をあけると、男は刃物を持った手を下ろして、歩きだした。
…多分、刃物は威嚇のためで、こういう状況には慣れていないのだろう。
ならば本当に命の危険にさらすことはしないはず。
そして、左手で口を塞がれているから…
刃物を持っているのは右手…
自分の置かれている状況を冷静に判断した。
すると、男が車の手前で立ち止まり、ややしてから車のスライドドアに手を掛けた。
その手に刃物がないことに気付き、私は即座にスッとしゃがんで、男の腕の中から抜け出し、後ろへ走った。
「乃愛!」
伊織さんが咄嗟に駆け寄り、私を抱き止めた。
「くそ!…でもな、こっちにゃまだいるんだよ!」
そこへ、開いたスライドドアから男が屈んで降りてきた。
その手にはロープ。
「おい、捕まえるぞ」
声をかけられ顔を上げたその男は……
「宏哉…」
…だった……
私は指定された北側入口に近い駐車場に車を停めた。
この北側入口はモールの一番はずれにあり、利用者が少ない。
故に…人の出入りも、停まっている車も少ないということ。
こんな時間にこんなところに呼び出して…謝罪?
そんなわけないじゃない。
絶対に…何かある。
車を降り、離れたところにある街灯がぼんやりと照らす中、心の中で警戒しながら入口へ向かって歩いた。
すると、後ろから男の声で「こっちに来い」と言われた瞬間、口を塞がれた。
「!」
そのまま引き摺られる様に、入口から離れていく…
何これ…この前みたいな……
暗い中、気付くと少し先には黒のワンボックスが停まっていて、そこに向かって近づいて行く。
これは絶対に連れ込まれるヤツだ……
車まであと数メートルというところで、私達の前に立ちはだかる様に…伊織さんが現れた。
(伊織さん…)
「彼女を返してもらおうか」
「…何だお前は。いいからどけ」
「いや、返してもらう」
「うるせぇな、邪魔すんじゃねぇ、そこをどけっ」
「邪魔なのはお前だ」
と、伊織さんが近づき、私を奪い返そうとした時。
「おっとぉ、かわいいこの子にキズがついちゃうよぉ?」
私の右首筋に触れる…固くヒヤリとしたモノ。
「っ!」
伊織さんの顔が…こわばった…
てことは…刃物、なんだ…
「クソッ!絶対にキズつけんな!」
「ハッ、大人しくしてくれれば俺はキズつけねぇよ」
「俺は、って…他に何かしようってヤツがいるのか!?」
「…いいからそこをどけ」
「……」
伊織さんが私を見た。
(伊織さん、私は大丈夫)
悔しそうな伊織さんに、私は力強い眼差しでコクリと頷いた。
「乃愛…」
伊織さんが道をあけると、男は刃物を持った手を下ろして、歩きだした。
…多分、刃物は威嚇のためで、こういう状況には慣れていないのだろう。
ならば本当に命の危険にさらすことはしないはず。
そして、左手で口を塞がれているから…
刃物を持っているのは右手…
自分の置かれている状況を冷静に判断した。
すると、男が車の手前で立ち止まり、ややしてから車のスライドドアに手を掛けた。
その手に刃物がないことに気付き、私は即座にスッとしゃがんで、男の腕の中から抜け出し、後ろへ走った。
「乃愛!」
伊織さんが咄嗟に駆け寄り、私を抱き止めた。
「くそ!…でもな、こっちにゃまだいるんだよ!」
そこへ、開いたスライドドアから男が屈んで降りてきた。
その手にはロープ。
「おい、捕まえるぞ」
声をかけられ顔を上げたその男は……
「宏哉…」
…だった……