愛は手から零れ落ちる 2nd.
朋美はマスターに状況を話して買い物を頼んだ。
マスターは急ぎ買い物をしてマンションに来てくれた。
「マスターすみません。」
「朋美ちゃん、朋美ちゃんは寝れたの?」
「はい。熱が出たのは朝からなので・・・」
「そっか。それで具合はどう?」
「今解熱剤を飲んで寝ています。少し落ち着いたように思うのですが・・・先生からは39℃超えたらもう一度入院だと言われています。」
「そっか・・・なあ、朋美ちゃん。今日俺ここにずっといてもいいか?」
「えっ? だってマスターお店は?」
「朋美ちゃん、今日は日曜日だよ。」
「あっそうですね。なんか曜日とかわからなくなってしまいました。」
「マスター、でも大丈夫ですよ。」
「ううん。ちょっと心配だから、そうさせてほしい。」
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えさせていただきます。」
「ねえ、朋美ちゃん今日何か食べた? 」
「いえ、そういえば朝から何も食べていません。」
「だめだよ、これで朋美ちゃんが倒れたら元も子もないよ。僕が何か作るから・・・」
「マスター、自分で作りますよ・・・」
「朋美ちゃん、お父さんの言うこと聞きなさい。」
「えっ? フフ、はい。」
マスターは冷蔵庫に昨日入れた材料で卵雑炊と野菜と豚肉の炒めを作ってくれた。
「僕も一緒に食べるから、朋美ちゃんしっかり食べてね。櫻井も起きたらこの雑炊を食べさせればいいから。」
「マスター、ありがとうございます。」
マスターの気持ちが暖かくて、とっても美味しいご飯を食べた。
夜になり、マスターは壮を見ているからゆっくりお風呂でも入ったらと言ってくれた。
私がお風呂に入っているとき、壮が目を覚ました。
「朋美・・・」
「櫻井、朋美ちゃんいまお風呂だ。」
「あー、マスター・・・すみません・・・」
「どう、具合は・・・」
「少し楽になったような・・・でもまだダルいです。」
「なんか飲むか? 」
「えーっと、スポーツドリンクか何かを・・・」
「わかった。卵雑炊あるけど食べれるか?」
「まだ今はいいかな・・・」
「そっか・・・なーお前、昨日の夜朋美ちゃんと久しぶりに二人になって無理したんじゃないのか?」
「・・・その通りです。マスターにはかなわないなー・・・なんでもお見通しだ・・・」
「まーわかるけどな・・・そういう気が起きるくらい良くなってはいるんだろうけどさー、もう少しガマンしろ。 朋美ちゃんには言わなかったけど、お前結構ヤバかったんだぞ。」
「それって・・・」
「ああ、もう少し刺された場所がずれていたり、発見が遅かったら危なかったらしい。」
「そんなだったんですか・・・」
「俺は警察の方から嫁経由でその情報を聞いた。もう二度と朋美ちゃんにそんな思いさせるなよ。」
「はい・・・俺、本当は朋美から婚約者との写真やお父さんからの手紙を見せられた時から、俺が朋美を守ってやりたい、幸せにしてやりたいって思ったんです。でもあんなことが起きた後だから、我慢して・・・でもどんどん朋美のこと好きになって・・・いろいろ心配したり・・・やきもち焼いたり・・・どうしていいかわからなくなって・・・なんだか空回りしてました。」
「そっか・・・俺だって独身だったら同じだったよ・・・」
「あー、やっぱり危ない。良かった、はやく引っ越させて。」
「バカ言え。あんな怖い嫁が居るんだ。なにも出来るわけないだろ。」
「ハハハ、眞紀さん明るいし頼りになるし、素敵です。」
「ああ、俺には過ぎた嫁だよ。さー、もう寝ろ。今晩は俺もここに付いているから。お前らが何もしないかお目付け役だ。」
「マスターったら・・・すみません。」
壮はドリンクを少し飲んでまた寝てしまった。
私が風呂から出たら、マスターは壮が起きたけどドリンクを飲んでまた寝たと伝えてくれた。
「朋美ちゃん、今日はそこのソファで寝なさい。」
「でもそれだとマスターは・・・」
「僕は実は寝袋持ってきたから大丈夫さ。」
「マスター・・・すみません。ホント迷惑ばかりかけて・・・」
「あのさ、櫻井が元気になったらうちの家族みんなとキャンプにでも行こう。そこでバーベキューしてさ、肉や魚いっぱい食べよう。」
「はい。楽しそう・・・」
「朋美ちゃん、少し楽しいこと考えて、今日はお休み・・・」
「はい。マスター、ありがとうございます。」
マスターはそう言ってくれたものの、朋美はなかなか寝付かれなかった。ても、マスターがいる安心感からかいつの間にか寝ていた。