愛は手から零れ落ちる 2nd.
一日の生活が一変した。
朝7時には起きて朝食を作り、子供たち2人を学校に送り出す。大学生のお兄ちゃんも毎日朝早く出かけるのだと眞紀さんは言った。その後、お母さんにご飯を食べさせ、それが済んでから眞紀さんと二人ゆっくり朝食をとった。お母さんがデイサービスに行くための準備をして、送迎バスが来たらそれに乗せる。これでお母さんは夕方まで帰ってこないのだという。その後、掃除洗濯をする。私達はそれから出かける準備をして、眞紀さんの運転で病院に向かった。
「眞紀さん毎日これを一人でやっているのですよね・・・」
「そうねー、でも今は子供も大きくなったから大丈夫。小さい時は毎日が戦争だった。」
「お兄ちゃんは大学生なのに朝早くから行くのですね。」
「あの子優しいから私のこと気遣ってそうしているのだと思う。どうも朝は図書館で勉強しているみたいなの。いい子でしょ。」
「はい。マスターも優しいですし、みんな優しいご家族です。」
「ありがとう。」
「私を病院に送っていただいて、また迎えに来ていただくなんて負担ですよね。ホントすみません。」
「私元警官だったのは聞いたでしょ。やっぱりね困っている人を助けたいという気持ちは他の人よりも強いみたいなの。だから、そんなに負担だとは思わない。やらせて頂戴。」
「ありがとうございます。本当に助かります。」
「それにしても変なのに目を付けられたわね。丁度私の同僚があの地域の担当警官だから内緒でいろいろ情報もらうことにしているから大丈夫よ。はやく捕まえろってハッパかけたしね。」
「ありがとうございます。何から何まで・・・」
「捕まえてしまえば、すぐに元の生活できるようになるわよ。」
「そうですか・・・」
「ハングレではなさそうだし、少しお灸据えれば大丈夫でしょ。そうそう、病院での滞在時間なのだけど、毎日2時間でいいかしら。」
「はい。ありがとうございます。あの、その間眞紀さんはどうされるのですか?」
「旦那のところに行って掃除したり、その後買い物したりするから大丈夫。」
「マスターには本当に良くして頂いて・・・私、申し訳ないのですがマスターのことお父さんみたいな感じで・・・」
「朋美ちゃん、いろいろ主人からは聞いています。大変な人生を送ってきたことも聞きました。だからこれから幸せになって欲しいって主人も言っていたわ。勿論私もそうおもう。あの人はお父さんでもいいけど私はお母さんはイャだから私達は友達になりましょ。」
「えっ、嬉しいです。私、友達いないから・・・」
「女どうし、なんでも話せる間柄になりましょ。」
「はい。よろしくお願いします。」
私は眞紀さんにそう言ってもらえてとても嬉しかった。