爽やか系イケメンの本気。



震えて、動いてくれない。
なんでそんな、楽しそうに話すの……。笑わないで……私以外に、そんな優しい顔しないでよ。
こんなこと思いたくないのに。
こないだのデート、あんなに期待させるようなことしたのに……余計、辛いよ。

視界がぼやけてきて、自然と浮かんだ涙がポロッと落ちる。

……っ、私、泣いてるの?

ボロボロ溢れる涙に戸惑って、1歩後ずさった時。


───カタッ


ほんの少しだけ、足音がなってしまって。
……まずい……っ。
ハッとしてやばいと思った時にはもう遅くて。


「……美桜?」


真紘くんと桜は私の姿を見て目を大きくさせていた。


「……っ」


私はパッと顔を逸らして、彼らを視界に入れないように走り出した。
やだ……っ、今は、話したくない。

そのまま廊下を走ると、


「美桜……っ!!」


後ろから真紘くんが私の名前を呼ぶ声がして、涙が止まるどころかどんどん溢れてくる。
なんで……涙が止まらないの。
今まで……泣くことなんてほとんどなかったのに。


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