爽やか系イケメンの本気。



涙なんてもう……枯れたと思ってた。
笑顔なんてもう、出来ないと思ってた。
感情なんてもう、知らないと思ってた。

なのに……真紘くんと出会って私は変わった。
その変化が嬉しかった。昔のように戻れたような気がして。

宇原美桜の顔は独特。
そんなこと言われた昔のトラウマだって、乗り換えられるぐらいだった。


でも……恋というのはこんなに辛いなんて知らなかったんだ。


「…うぅ……っ」


溢れる涙を拭いながら走り続ける。
後ろから私と同じような足音が重なっていて、追いかけて来てくれてるんだろうなと思う。
でも、こんな顔見られたくない。

どこに行く……?どこに行けば逃げられる……?


そう思って角を曲がると、目の前に人影がありスピードを落とす。


「わっ……あれ、宇原さん?危ないじゃない。どうしたの……って、え?」

「……っ、佐野先生、斉藤(さいとう)先生が、呼んでました……っ」

「え……っ?あ、ちょっと……っ!」


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