爽やか系イケメンの本気。
「…お、はよう……」
目の前でニコニコと立っている柚希くんから、パッと目をそらす。
……逃げたい。
逃げたいのに、私は窓側の席だから壁だし、唯一逃げられる方向には柚希くんが立っていて動けない状況。
周りの人達は静かになっていて。私たちを見ているんだと思う。
桜からも、視線を感じる。
あー、もう色んなところからの視線が痛い。
どうしようと思っていると、目の前の影が動く。
なに、と思って柚希くんの方を見ると、急に膝に片手を置いて中腰になって私と同じ目線に合わせた。
手が伸びてきて。
「…っえ…っ?」
その手は、おでこを触った。
柚希くんから目が離せなくて。ぶわああ、と顔が熱くなるのがわかる。
後ろに体を引きたいのに後ろは壁。逃げられない。
目の前の柚希くんは、ふっと笑って、
「…っ、ちょ、ちょっと……」
「よかった。もう熱はないみたいだね」
と安心したように私の目を見つめてくる。