爽やか系イケメンの本気。



周りを見渡すと、もう皆続々と教室から出て行っているから片手で数えられる人数しかいない。
SHRが終わったあと、すぐ柚希くんは先生に呼ばれていたから今はいないし。

今、チャンスなのでは……。


よし、と思いスクールバッグを手に持つ。
教室のドアに向かって歩き出してみる。
……まだ、来なさそう……っ!

そのまま教室のドアを開けて、玄関に向かおうと右を曲がると、


────ドン


「…いっ」


目の前には自分より大きな体。
その人に突っ込むようにぶつかってしまい急いで離れようとすると、その人は私の腰に腕を回した。


「だめでしょ逃げちゃ」

「…へっ……」


さっきよりもその人と密着してしまい驚いて上を見ると、私を見下ろしている柚希くんと目が合う。
……っ、タイミング……。

その柚希くんの目は少し怖くて、やばいと察する。


「こんな悪い子には、お仕置きが必要……かな?」

「な、なに言って……っ」



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