爽やか系イケメンの本気。



軽く抱きしめられたまま、そう言ってくるからどうすればいいかわからなくなる。
…そ、そうだよ、なんで私、抱きしめられて……っ。


「は、離して……っ」

「なんで?美桜が俺に突っ込んできたんだろ?」

「そ、そうだけど、違う……っ。近いよ…っ」


柚希くんを押し返すように胸板を押すけど、ビクともしない。
柚希くんを見つめて、目で離してほしいと訴えてみる。


「…はあ。無自覚ってきついよね。逆効果なんだけど」


一瞬固まった柚希くんはため息を吐いてそう言う。
ため息つきたいのはこっちだよ……っ、ドキドキうるさいから、離して……っ!

もう一度ため息を吐いて、パッと手を離してくれる。


「…荷物取ってくるから、逃げんなよ」


何を考えているのかわからない瞳で私を見つめてくる柚希くんにまたひとつドキッとする。

教室に戻ったと思ったら、ドアからひょこっと顔を覗かせた柚希くんは、私に手招きをした。
……今度は、なに?


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