爽やか系イケメンの本気。



……なにしてるんだろ、私。最近らしくないな。
廊下を歩きながら南朋を困らせてしまったんじゃないかと少し後悔する。
ひとつ、ため息をつく。

そのまま歩いていると、やっぱりチラチラと視線を感じて。
三年生の廊下でも見られるんじゃ、休みどころないじゃん。


…その時。
後ろから右腕をガシリと掴まれ、驚いて後ろを振り向くと、


「ねぇ君、宇原美桜ちゃんだよね?」


知らない男の人二人が私の腕を掴んでニヤニヤ笑っていた。
……誰、この人達。
南朋の知り合いというわけではなさそうだ。初めて見るから。
意外と腕を掴む力が強くて不快感を覚える。


「…どなたですか」


自分でもわかる少し低い声でそう聞き返す。
……離してほしいんだけど。
周りをちらりと見渡すと、誰も近寄ろうとしてこない。
ヒソヒソと話している声。


「やっぱり近くで見るとめっちゃ可愛いね〜」


……え?


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