無口な彼の素顔〜職人技に隠された秘密〜

　思わぬ話に、素っ頓狂な声を上げてしまう。周りも社長の声に驚き視線を向ける。

「あの〜、うちはリフォームやリノベーションを請け負う会社ですが……」
「存じております。ただ、聞いた話によると、島田さんは一級建築士の資格もお持ちで、仕事の評判も良いですよね」
「確かに、ありがたいことに評価いただいております」
「私自身も、実際現場で拝見しましたが、快適な生活空間になっていました」
「それは、ありがとうございます」
「最上階の物件ですが、小さなお子さんのいらっしゃるお客様が、生活拠点として住まわれる予定です。モデルルームのような部屋は求めておりません」
「なるほど」
「どうでしょう？請け負っていただけませんか？」
「本人とも相談しまして、改めてお返事させていただいてもよろしいですか？」
「もちろんです」

　こうして、優の判断に委ねられることとなった。