無口な彼の素顔〜職人技に隠された秘密〜

「社長はどう思いますか？」
「そうだな。間違いなく遣り甲斐のある仕事で、俺なら挑戦してみたい」
「ですよね……」
「どうだ？一度現場を見せていただいたらいいんじゃないか？」
「そうですね」

　他にもたくさんの現場を抱えている優には、簡単に依頼を受ける時間もない。

　大橋建設に連絡を入れると、専務は不在で秘書室長だという男性に繋がった。

「大橋から話は聞いております」
「一度現場を見せていただくことは可能でしょうか？」
「もちろんです。私が案内させていただきます」
「よろしくお願いいたします」

　結局、依頼してきたであろう大橋専務とは接点のないまま、現地視察に訪れることとなった。

　そして、実際の現場を見て驚くこととなる。

　最高の立地に建設された、オフィス棟とマンション棟のツインビルは、超高級物件だ。

　優は、ビルの上を見上げポカンとしてしまう。

　そこへ――。