無口な彼の素顔〜職人技に隠された秘密〜
 立派なオフィスビルだけあって、エレベーターの数も多い。最上階直通のエレベーターが、奥にあり案内された。

 エレベーターの中は、案内の女性と二人きりで沈黙が続く……。

 時折、女性の視線を感じるが、前を見てやり過ごす。

 エレベーターが開くと、一気に高級感の増すフロアが現れた。

「こちらです」
「あっ、はい」

 案内された応接室に入るが、まだ誰もいなかった。図面とメモを用意し、ひとりポツンと待っている間に、図面に構想を膨らます。

『コンコン』

「は、はい」
「失礼します。お待たせしました」

 先日の秘書室長の皆川が、お客様を連れて入ってきた。優もソファから立ち上がり迎える。

「はじめまして。木島と申します」

 男性が名刺を出しながら挨拶している横で、奥様らしき女性が頭を下げている。

「はじめまして。住まいリィの島田と申します」

 優も名刺を渡しながら自己紹介した。
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