無口な彼の素顔〜職人技に隠された秘密〜
「なんと。慎、本当か?」
「ああ。間違いない。あの瑛斗が優ちゃんといると別人だ。本人は隠しているつもりなんだろうが、わかりやすい。俺は大賛成だ」
「慎が言うなら間違いない。まあ、ここを見ただけで好感がもてる」
「ひ孫も遠くないかもな」

 そこへ、噂の本人が登場した。

「お疲れ様です!」
「お疲れさん。噂をすればだな」
「慎さん、私の悪口言ってたんですか?」
「褒めても悪く言うことはないぞ」
「それならいいんですが……。あっ、初めまして。住まいリィの島田と申します」

 慎の隣にいる貫禄のある年配の男性に気づき挨拶をする。

「元気がいいな」
「優ちゃん、瑛斗の祖父だ」
「えっ!?大橋瑛介さんですか?」
「ああ。そうだが?」
「お会いしたかったんです。著書を読ませていただいてます」

 そう瑛斗の祖父は、建築関係の本を何冊か出版しているのだ。
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