捨てられる前に、最後にひとつよろしくて?
お腐れ令嬢だから、普通とは違うからと殿下への想いに蓋をしてしまっていたのだ。
カイが殿下の傍にいるように、私ももっと殿下のお傍に居たいと心の奥底で思っていた感情が今になって溢れ出す。
他の女が殿下を取ることも、カイに殿下を取られることも絶対に嫌だ。
「政略的な結びつきだとしても、僕は初めてマージュに出会ってからずっと君に恋焦がれている。どうか君の気持ちを聞かせて欲しい。僕の隣が嫌なのであれば、先ほどの婚約破棄の話を本物にしよう。僕のせいで、君の幸せを奪うようなことをしたくないんだ」
「婚約破棄なんて真っ平御免です。他の女も男も、断じて許しません!私が殿下のお傍にいます!!」
「男……?あはは、僕はマージュ以外には興味がないよ」
「私もです、殿下。ずっと貴方様の事が好きです。これからもこの気持ちは変わりません」
真っ直ぐに殿下を見つめると、嬉しそうに朗らかな笑みを浮かべてきた。
それに釣られて私も微笑むと、ソファーから立ち上がった殿下にひょいと横抱きのまま抱き上げられた。