捨てられる前に、最後にひとつよろしくて?



 どう、して……どうして……。

 どうして、殿下の隣に《女》がいるの??

 あまりにもか弱くて、釣り合わない《女》が……殿下の隣に居ることが許されるとでも??

 ふつふつと燃え上がる私の感情は、遂に沸点を越えたかと思うと、そのまま口から言葉として吐き出された。




「……殿下。捨てられる前に、最後にひとつよろしくて?」




「何をだ?」


「私の願いを聞いて下されば――今回の件は全て受け入れましょう」



 完璧に私の全てと言ってもいいものを手放さなければならないのは、非常に心苦しい。

 これから先、どうやってこれまでのように養分を得ていけばいいのかも分からない。




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