【一気読み改訂版】黒煙のレクイエム
第18話
８月５日の昼過ぎのことであった。
この日、あいつの家で新たな問題が発生した。
２年前に『オンボロの三流以下の私立高校に行かないからな!!』と父親に怒鳴りつけて家出した18歳の弟(あいつの父親が愛人に産ませた子)のしゅうさくが16歳のカノジョをつれて突然家に帰ってきた。
16歳のカノジョは、胎内に小さな生命を宿していた。
現在、妊娠４ヶ月と４週目であった。
２日後には５ヶ月目に入る…
しゅうさくは、両親に対して『(カノジョ)と入籍したいので結婚を認めてほしい…まじめに働いて生まれてくる赤ちゃんのためにがんばるからこの通りだ!!』と言うて入籍を認めてくれと言うた。
両親は『結婚はもう少しだけ待ってほしい…』と言うて大反対をとなえた。
しゅうさくは、怒鳴り声をあげながら家中を暴れ回った。
両親は、やむを得ずふたりの結婚を認めた。
カノジョの両親も、しゅうさくが恐いのでふたりの結婚を認めた。
その後、ふたりは川西市の市役所に婚姻届を提出した。
婚姻届の保証人は深江さんが引き受けた。
深江さんは、しゅうさくから『娘のお見合いをぶち壊すぞ!!』と脅されたので婚姻届の保証人の欄にショメイナツインした。
しゅうさくは、深江さんの紹介で鋳物師《いもじ》にある電子部品の製造工場に再就職した。
あいつの両親は、しゅうさくは変わることができると思っていた。
しかし、そこで大きな誤算が生じたようだ。
しゅうさくには、家出中に好きだった20歳の女がいた。
しゅうさくが宝塚市内で女とイチャイチャしていた現場を深江さんによって目撃された。
ふたりは、宝塚歌劇の劇場〜ワシントンホテル〜阪急デパートで豪遊《デート》をしていた。
深江さんからことの次第を聞いたあいつの両親は、思い切り困り果てた。
８月21日の昼過ぎのことであった。
アタシがバイトしているコナミスポーツクラブに深江さんがやって来た。
コナミスポーツクラブのロゴいりの白のＴシャツとデニムの短パンを着ていて、長い髪の毛をターコイズのゴムひもで束ねている姿のアタシは、トイレ掃除をしていた。
深江さんはアタシに対して助けを求めたが、アタシは強く拒否した。
「深江さん!!アタシはあいつの家とはリエンしたから関係ないのよ!!それなのに、どうしてアタシに助けを求めるのよ!!アタシは、あいつと仲直りする気はないわよ!!もういいから帰ってよ!!」
「こずえさん…こっちは困っているのだよ…ごんぞうさんが助けを求めているのだよ…」
「イヤ!!拒否するわよ!!」
「どうしても…アカン…かな…」
「深江さん!!何なのよそのしゃべり方は…アタシはイヤと言うたらイヤよ!!」
「ごんぞうさんは、こずえさんにあやまりたいと言うてるのだよ…」
「イヤと言うたらイヤ!!」
「ごんぞうさんは、もう一度だけチャンスくれと言うてるのだよ。」
「チャンスは自分の力でつかみ取るものよ!!あいつは言葉の意味が分からずにいよるけんダメなのよ!!」
「それじゃあ、ごんぞうさんの両親がチャンスをくれと言うても…」
「ダメ!!チャンスは自分の力でつかみ取るものよ!!」
「それじゃあ、どうすればいいのだよぉ〜」
「チャンスをくれと言うのであれば、自分の力で努力するより他はないのよ!!」
「それは分かってるよ〜」
「アタシは、震災孤児でものすごくつらい思いをしたのよ!!」
「分かってるよよぅ〜」
「それなら同情しないでよ!!」
「分かってるよ〜私だって…20年前の阪神淡路大震災の時に中学１年だった末の娘を亡くしているのだよ…その前の22年前の北海道南西沖地震の時も…奥尻島で暮らしている嫁さんカタの親せきの家が津波で流されて、親せきの人が亡くなった…32年前に秋田県に居たときにも日本海中部地震でたったひとりの息子が津波にのみ込まれて亡くなった…」
「だから何よ!!アタシが気仙沼で被災した時、あんたはどこで何してたのよ!?」
「４年前の震災のときは、対応に追われていたのだよ!!被災地に届ける救援物資を作る仕事に追われていたのだよぉ。」
「あんたの言うことなんか信用できないわ!!帰ってよ!!」
（バシャ!!）
思い切りブチ切れたアタシは、バケツに入っている汚水を深江さんにかけたあとトイレ掃除を再開した。
同じ日の夜９時過ぎであった。
アタシがバイトしているファミマにあいつがフラりとやって来た。
あいつは、アタシに対してチャンスをくれとコンガンした。
アタシは、あいつに対して『甘えるな!!』と言うて怒鳴りつけた。
アタシは、新しく来たお弁当を陳列ケースにならべる仕事をしながらあいつに言うた。
「あのね!!あんたはチャンスと言う言葉の意味が全く分かってないわね!!アタシにどぎつい暴力をふるったことをひとこともわびてないわね!!と言う気持ちがないみたいね!!アタシはあんたに対してうらみがあるから…あんたのことは一生許さないわよ!!」
「こずえ…助けてくれよ…オレはものすごく困っているのだよ…しゅうさくがよその女とイチャイチャしていたことが表ざたになったから…お嫁さんの出産に影響が出たのだよ…」
「あんたは、たのむところを間違えているわよ!!助け船を出してほしいと言うのであれば弁護士さんに頼みなさいよ!!」
「それじゃあだめだよぉ…」
「イヤ!!拒否するわよ!!」
「なんで拒否するんだよぅ？」
「イヤと言うたらイヤ!!」
「それじゃあ…しゅうさくのお嫁さんが赤ちゃんを出産してからしばらくの間でもいいから…」
「甘えるなゲジゲジ!!チャンスをくれと言うのであれば自分ひとりの力だけでつかみ取るのよ!!」
「こずえ…あやまるよぅ…この通り…」
「イヤ!!アタシは一生あんたをうらみ通すわよ!!あんたね、店に居座り続けるようだったら、神戸にいる知人に電話してやくざ連中を呼ぶわよ!!殺されるのがイヤなら帰んなさいよ!!」
思い切りブチ切れたアタシは、あいつを両手でついて倒したあと、キャリーであいつの頭を殴った。
殴られたあいつは、女々しい声で泣いた。
なさけないわね…
自分ひとりの力でチャンスをつかみ取ることができないのにチャンスくれなんて…
甘ったれているわよ…
だから…
男なんかだーーーーーいきらーーーーーい!!
この日、あいつの家で新たな問題が発生した。
２年前に『オンボロの三流以下の私立高校に行かないからな!!』と父親に怒鳴りつけて家出した18歳の弟(あいつの父親が愛人に産ませた子)のしゅうさくが16歳のカノジョをつれて突然家に帰ってきた。
16歳のカノジョは、胎内に小さな生命を宿していた。
現在、妊娠４ヶ月と４週目であった。
２日後には５ヶ月目に入る…
しゅうさくは、両親に対して『(カノジョ)と入籍したいので結婚を認めてほしい…まじめに働いて生まれてくる赤ちゃんのためにがんばるからこの通りだ!!』と言うて入籍を認めてくれと言うた。
両親は『結婚はもう少しだけ待ってほしい…』と言うて大反対をとなえた。
しゅうさくは、怒鳴り声をあげながら家中を暴れ回った。
両親は、やむを得ずふたりの結婚を認めた。
カノジョの両親も、しゅうさくが恐いのでふたりの結婚を認めた。
その後、ふたりは川西市の市役所に婚姻届を提出した。
婚姻届の保証人は深江さんが引き受けた。
深江さんは、しゅうさくから『娘のお見合いをぶち壊すぞ!!』と脅されたので婚姻届の保証人の欄にショメイナツインした。
しゅうさくは、深江さんの紹介で鋳物師《いもじ》にある電子部品の製造工場に再就職した。
あいつの両親は、しゅうさくは変わることができると思っていた。
しかし、そこで大きな誤算が生じたようだ。
しゅうさくには、家出中に好きだった20歳の女がいた。
しゅうさくが宝塚市内で女とイチャイチャしていた現場を深江さんによって目撃された。
ふたりは、宝塚歌劇の劇場〜ワシントンホテル〜阪急デパートで豪遊《デート》をしていた。
深江さんからことの次第を聞いたあいつの両親は、思い切り困り果てた。
８月21日の昼過ぎのことであった。
アタシがバイトしているコナミスポーツクラブに深江さんがやって来た。
コナミスポーツクラブのロゴいりの白のＴシャツとデニムの短パンを着ていて、長い髪の毛をターコイズのゴムひもで束ねている姿のアタシは、トイレ掃除をしていた。
深江さんはアタシに対して助けを求めたが、アタシは強く拒否した。
「深江さん!!アタシはあいつの家とはリエンしたから関係ないのよ!!それなのに、どうしてアタシに助けを求めるのよ!!アタシは、あいつと仲直りする気はないわよ!!もういいから帰ってよ!!」
「こずえさん…こっちは困っているのだよ…ごんぞうさんが助けを求めているのだよ…」
「イヤ!!拒否するわよ!!」
「どうしても…アカン…かな…」
「深江さん!!何なのよそのしゃべり方は…アタシはイヤと言うたらイヤよ!!」
「ごんぞうさんは、こずえさんにあやまりたいと言うてるのだよ…」
「イヤと言うたらイヤ!!」
「ごんぞうさんは、もう一度だけチャンスくれと言うてるのだよ。」
「チャンスは自分の力でつかみ取るものよ!!あいつは言葉の意味が分からずにいよるけんダメなのよ!!」
「それじゃあ、ごんぞうさんの両親がチャンスをくれと言うても…」
「ダメ!!チャンスは自分の力でつかみ取るものよ!!」
「それじゃあ、どうすればいいのだよぉ〜」
「チャンスをくれと言うのであれば、自分の力で努力するより他はないのよ!!」
「それは分かってるよ〜」
「アタシは、震災孤児でものすごくつらい思いをしたのよ!!」
「分かってるよよぅ〜」
「それなら同情しないでよ!!」
「分かってるよ〜私だって…20年前の阪神淡路大震災の時に中学１年だった末の娘を亡くしているのだよ…その前の22年前の北海道南西沖地震の時も…奥尻島で暮らしている嫁さんカタの親せきの家が津波で流されて、親せきの人が亡くなった…32年前に秋田県に居たときにも日本海中部地震でたったひとりの息子が津波にのみ込まれて亡くなった…」
「だから何よ!!アタシが気仙沼で被災した時、あんたはどこで何してたのよ!?」
「４年前の震災のときは、対応に追われていたのだよ!!被災地に届ける救援物資を作る仕事に追われていたのだよぉ。」
「あんたの言うことなんか信用できないわ!!帰ってよ!!」
（バシャ!!）
思い切りブチ切れたアタシは、バケツに入っている汚水を深江さんにかけたあとトイレ掃除を再開した。
同じ日の夜９時過ぎであった。
アタシがバイトしているファミマにあいつがフラりとやって来た。
あいつは、アタシに対してチャンスをくれとコンガンした。
アタシは、あいつに対して『甘えるな!!』と言うて怒鳴りつけた。
アタシは、新しく来たお弁当を陳列ケースにならべる仕事をしながらあいつに言うた。
「あのね!!あんたはチャンスと言う言葉の意味が全く分かってないわね!!アタシにどぎつい暴力をふるったことをひとこともわびてないわね!!と言う気持ちがないみたいね!!アタシはあんたに対してうらみがあるから…あんたのことは一生許さないわよ!!」
「こずえ…助けてくれよ…オレはものすごく困っているのだよ…しゅうさくがよその女とイチャイチャしていたことが表ざたになったから…お嫁さんの出産に影響が出たのだよ…」
「あんたは、たのむところを間違えているわよ!!助け船を出してほしいと言うのであれば弁護士さんに頼みなさいよ!!」
「それじゃあだめだよぉ…」
「イヤ!!拒否するわよ!!」
「なんで拒否するんだよぅ？」
「イヤと言うたらイヤ!!」
「それじゃあ…しゅうさくのお嫁さんが赤ちゃんを出産してからしばらくの間でもいいから…」
「甘えるなゲジゲジ!!チャンスをくれと言うのであれば自分ひとりの力だけでつかみ取るのよ!!」
「こずえ…あやまるよぅ…この通り…」
「イヤ!!アタシは一生あんたをうらみ通すわよ!!あんたね、店に居座り続けるようだったら、神戸にいる知人に電話してやくざ連中を呼ぶわよ!!殺されるのがイヤなら帰んなさいよ!!」
思い切りブチ切れたアタシは、あいつを両手でついて倒したあと、キャリーであいつの頭を殴った。
殴られたあいつは、女々しい声で泣いた。
なさけないわね…
自分ひとりの力でチャンスをつかみ取ることができないのにチャンスくれなんて…
甘ったれているわよ…
だから…
男なんかだーーーーーいきらーーーーーい!!
